河北春秋(7/19):<世界の明星を一場に集めたこの大会、その…

 <世界の明星を一場に集めたこの大会、その美しさに酔はされています>。1928年8月3日夜、オランダ・アムステルダム。一人の日本人スプリンターが故郷の恩師に手紙をしたためていた▼青森県出身者として初めて五輪に出場した井沼清七(07~73年)。当時21歳。400メートルリレーの予選を翌日に控えていた。<相手は世界一流の強豪揃、とても敵ではありません。しかし私たちは最善をつくして日本のために闘います>▼加筆や訂正があちこちに残る文面からは、大舞台を前にした興奮と、国家を背負って戦う誇りや緊張感がにじみ出る。昨年夏、出身地である中泊町の博物館に手紙の原本が寄贈された▼新型コロナウイルスの影響で1年延期となった東京五輪・パラリンピックが始まる。十分な準備期間があったにもかかわらず、「安心・安全」な大会開催の前提となるはずだったワクチン接種が遅れ、サッカー会場の宮城県などを除き、無観客での開催となる。青森県内で予定されていた事前合宿も全てが中止になった▼高揚感とはほど遠いスポーツの祭典。せめてもの願いは、世界から集まった「明星」たちが、コロナ禍の厳しい環境下で磨いてきた力と技を思う存分発揮すること。躍動する選手たちにテレビの前から声援を送りたい。(2021・7・19)

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