河北春秋(7/22):<ぼくはクシャミをしてしまった とても大…

 <ぼくはクシャミをしてしまった とても大きなクシャミだった ぼくのクシャミでたくさんの人が泣いている>。『海からの手紙』と題する詩の一節。気仙沼市のNPO法人「浜わらす」のホームページを飾っている▼美術館の職員や地元の子どもたちが東日本大震災後のワークショップで作ったという作品は、津波を海の生理現象と捉え、思わぬ結果を悔やむ友人を慰めるような優しさで満ちている▼震災以降、海を「危険」と遠ざける風潮に抗し、浜わらすの前身のプロジェクトが始動したのは2013年。水辺で遊び、いかだを作り、魚を取って-。さまざまな体験を通して海と子どもたちの関係を紡ぎ直してきた▼感慨はひとしおだろう。津波で被災した同市本吉町の大谷海水浴場が11年ぶりに開設された。一時は大幅に砂浜を縮小する宮城県の防潮堤計画が示されたが、住民の反発で見直され、従前の広い白砂が戻った。新型コロナウイルス対策を徹底しながらではあるが、復活に寄せる期待は大きい▼浜わらすは海の魅力だけでなく、その怖さも教えてきた。「自然の中に身を置いて初めて気付くことがある。海は素晴らしい遊び場であり、学びの場」と笠原一誠代表。必要なのはしなやかな強さ。砂浜に咲いた笑顔の価値を改めて思う。(2021・7・22)

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