<せんだい進行形>「巣ごもり需要」の販促模索 仙台・水産卸2社

 新型コロナウイルス禍で水産物の消費動向が大きく変化する中、仙台市内の水産卸が奮闘している。外食需要が減少する一方、巣ごもり需要が増加。コロナ禍の出口が見えない中、新たな販路や消費の拡大に向けた模索を続けている。(報道部・山老美桜)

仙台水産が6月、セルバ内の鮮魚専門店で開催した北海道フェア

若手社員のアイデア基にフェア開催

 泉区の大型商業施設セルバの鮮魚専門店で6月、北海道フェアがあった。噴火湾産本マグロ、ウニ、ホッケ、アサリ。立ち寄った同区の会社員高橋功祐さん(31)は「普段と違う雰囲気の売り場に知らない魚があって面白い」と話した。

 企画したのは創業61年の仙台水産(若林区)。4~7月に計4回、九州、四国、北海道、北陸と産地に特化した販促会を量販店などと開催した。きっかけは「部門を超えた販促で消費者に広く届けたい」という若手社員の声だった。

 3月、製パン会社のキャンペーンにならい「仙水 春の○○祭り」と銘打ったフェアを開催。近海部は「タイ祭り」、まぐろ部は「バチ祭り」。ユニークな発想は評判を呼び、冷凍・加工品部門を含めた横断型の販促会に発展した。

 同社の三浦伸一朗取締役(50)は「消費者に勧めやすいと量販店に好評で、関係強化につながった。巣ごもりで遠出できない消費者にも喜ばれている」と手応えを口にする。

 同社では昨年、内食や中食需要の増加で赤字を免れはしたが、「歯を食いしばる」(三浦取締役)状態が続く。今後も鮮魚部門が連携して月1回のフェアを開くなど、より柔軟に水産物を消費者に届ける取り組みを模索する。三浦取締役は「各部の垣根がなくなり意見を言いやすくなった。今後も魚食の良さを伝えたい」と意気込む。

仙都魚類が6月、父の日向けに開いた商材提案会=仙台市若林区の仙台中央卸売市場(同社提供)

内食・中食ブームで加工品の人気加速

 創業73年の仙都魚類(若林区)も、同様にコロナ禍に苦しむ。昨年は宿泊施設や飲食店などに卸す業務用需要が2019年比で約8割減。ウニやマグロといった高級水産物を中心に供給過多となり、単価が下落した。

 同社は昨年10~11月、行き場を失った水産物を広く流通させようと、年末商戦向けに東北6県のスーパーなどへの商談を全社を挙げて展開。昨年の売り上げは19年を下回ったものの、小売りの需要増で一定程度のカバーができたという。

 同社鮮魚部の岡野力さん(49)は「内食、中食の効果で加工品の需要が増えた一方、コロナ前から鮮魚の需要が減少して久しい」と話す。消費者が時間や手間のかからない加工品を好む傾向は、コロナ禍で一層加速していると分析する。

 今年6月には父の日向けの商材提案会を開催。例年、母の日に比べて消費の反応が悪い父の日だが、外食自粛ムードを勝機と見た小売店も強気な品ぞろえで応じ、予想以上の売れ行きだったという。

 岡野さんは「一般消費者向けの鮮魚は各産地の水産業者に委託し、1次加工から最終的な製品化まで施した上で市場に流通させる。まずは多くの人に水産物を食べてもらう努力をしていきたい」と力を込める。

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