<NPOの杜>鑑賞や参画で感動共有 せんだい杜の子ども劇場

せんだい杜の子ども劇場のイベントで行われた人形劇=2020年2月、仙台市泉区中央市民センター
イベントで踊る子ども劇場のメンバーら=18年9月、石巻市河北総合センター

 テレビが多くの家庭に普及した1966年、子どもにリアルな体験をさせようと、福岡県の子育てママと大学生が中心となり「子ども劇場」を誕生させました。活動は全国に広がり、2000年には750もの劇場ができ、仙台にも各地で子ども劇場ができました。その後全国の子ども劇場が活動の形を変えていく中で、仙台では三つの子ども劇場が統合し、子育ての悩みに寄り添う傾聴電話「ママパパライン」を開設。06年にはNPO法人せんだい杜の子ども劇場として新たにスタートしました。

 「子どもの劇団なの?」としばしば聞かれますが、「劇場」の意味は「みんなが集まる広場」。親子にとって多くの人との出会いが貴重との考えに、共感が広がりました。

 法人設立当初から代表理事を務める斎藤純子さんは「『楽しい』から始めた活動ですが、法人格を取得することで『全ての子どもの成長のために』というパブリックな考え方が確立した」と話します。会費を払うのが難しい家庭の子どもも参加できるよう活動資金の応援を呼び掛けると、共感した多くの人が活動に加わりました。

 子ども劇場誕生当時からの活動の柱の一つは「芸術鑑賞」です。芸術団体の招致から当日の受け付けまでの運営を、ママたちがコーディネートし、子どもも参画し作り上げます。画面越しでは分からない演者の息遣い、汗、全身で動くさまを見て、本物に触れる感動を親子や子ども同士で共有することを大事にしてきました。

 もう一つの活動の柱は「子どもの参画」です。子どもの力を信じ、大人は縁の下の力持ちとして見守ります。そこから子ども同士が考え、形にする人形劇サークル「ちょこタイム」の活動も生まれました。

 法人化した翌年、「異なる年齢の子どもたちがいつでも集い、遊びを通して成長する」という法人と仙台市の児童館の理念が合致し、児童館の公募にエントリーして指定管理者になりました。小学生が企画・運営し、子ども同士が交流する「子どもまつり」では感動を共有。団体が目指すものを地域で実践できるようになりました。

 児童館には、乳幼児を抱えたママやパパも訪れます。特にママたちは子育ての悩みを一人で抱えてしまう傾向が強く、「思い悩んで考え始めると、底なしの不安になる」と斎藤さん。児童館は何でも話せる居場所であることを意識し、ママの気持ちを受け止めて「子育てを頑張ろう」と笑顔にして送り出しています。

 今の子どもたちについて斎藤さんは「バーチャルの世界と実際の世界が結び付かない。新型コロナウイルス禍にあって安全を確保しながら、実体験の場をどう作っていくかが課題」と話します。子どもが育ち親も成長する「子育ち親育ち」を地域全体で応援しようと活動しています。(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 小野寺真美)

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