仙台七夕の歴史や意味をミュージアムで学ぶ コロナ禍経て3年ぶり通常規模へ
今年の仙台七夕まつり(8月6~8日)は3年ぶりに通常規模で開催されます。新型コロナウイルス禍前(2019年)の7割強に当たる222本の大型飾りが仙台市中心街を彩ります。コロナ感染拡大を受け、2020年は戦後初めて中止され、2021年は大型飾りを79本に絞って開催されました。本番に向け、仙台七夕の歴史や意味を改めて確認してみてはいかがでしょうか。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
仙台市若林区の「七夕ミュージアム」は仙台七夕まつりについて学べる施設です。笹かまぼこ製造・販売の「鐘崎」が2005年、本社工場の隣地に開設しました。コロナ禍前は年間約5万人が訪れた観光スポットです。約350平方メートルの八角形の建物に、5本一組の大型飾りが3組展示されています。飾り付け審査で2010、17、19年に地区の金賞を受賞した飾りで、とても華やかです。
入賞の常連だった鐘崎は2021年1月末に一番町店を閉店し、まつりで商店街に大型飾りを出すことはなくなりました。鐘崎の担当者は「ミュージアムを通し、仙台の文化を未来につないでいく役目を果たしたい」と話します。
仙台七夕の歴史は古く、仙台藩祖伊達政宗の時代から広く行われてきました。陰暦7月6日の夕方に短冊などをつるしたささ竹を飾り、豊作や手芸の上達を願いました。ささ竹は7日朝、川に流します。素朴な習わしでした。
大正時代、第一次世界大戦や不景気により衰退しましたが、1926(大正15)年、市中心部の商店街が合同で、七夕まつりと大売り出しを兼ねたイベントを実施。大勢の人でにぎわいました。
この時期から、七夕行事の主役は「家庭」から「商店街」に移ります。昭和に入って「飾り付けコンクール」が始まると、飾りは年々華美になりました。第二次世界大戦で中断しましたが、46年に再び七夕が飾られ、一大観光イベントに発展していきました。
ミュージアムの回廊には藩制期から大正、昭和を経て現代までの飾りが再現されています。吹き流しをくぐるたび、タイムスリップしたかのような気分を味わえます。
仙台七夕固有の「七つ飾り」の意味も確認しましょう。「短冊」は学問や書道の上達、「吹き流し」は機織りの上達、「折り鶴」は健康や長寿、「投網」は豊漁、「くず籠」は清潔や倹約、「紙衣」は手芸の上達や子どもの成長、「巾着」は商売繁盛といった願いが込められています。
主催する仙台七夕まつり協賛会は、七つ飾りの作り方を紹介する動画を公式ホームページで公開しています。親子で作り、家に飾るのも楽しそうです。
[七夕ミュージアム]仙台市若林区鶴代町6-65。営業時間は午前9時半~午後6時。入場無料。連絡先は 022(238)7170
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