仙台の「渋滞の名所」と言えば? タクシー運転手100人にアンケート

交通量が多い六丁目交差点。「X字」で交わり、事故も多い=2022年4月

 人口109万の東北最大の都市、仙台市は紛れもない車社会です。公共交通機関の少ない郊外に住宅地や大型商業施設があり、通勤・レジャーといった生活の足として車は重宝されています。半面、渋滞は朝夕を中心に市内各所で起きています。仙台の道を知り尽くしたタクシーの運転手さんたちに「渋滞の名所」を教えてもらいました。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

 創業70年の老舗「仙都タクシー」(山下晴也社長)の乗務員約100人にアンケートをした。平日と休日の朝昼夜に分けて渋滞箇所を尋ね、35人が延べ147地点・エリアを回答した。

時間帯を問わず渋滞が発生しやすい坂下交差点=2022年4月(写真の一部を加工しています)

「平日・朝」

 交差点を挙げた回答で最多8件を集めたのは「坂下交差点」(地図①)。宮城野区の国道45号で、正式には「原町3丁目交差点」という。平日の昼夜、休日朝昼も混雑するとした意見が多かった。

 東側は塩釜・多賀城や国道4号仙台バイパスから、北側は鶴ケ谷などの宅地や県道8号仙台松島線(通称利府街道)から、市中心部へ向かう車が流れ込む。

 2017年の仙台市交差点交通量調査によると、午前7時から午後7時までの日中12時間で4万4832台が行き交う。午前7時台は4205台で最も混雑する。

 約700メートル北の「ガス局前交差点」(地図②)との区間は、JR東北線などの高架下をくぐる形状。下り坂から上り坂に差しかかる凹部があり、渋滞を引き起こす要因となっている。道幅は約10メートルで、交差点近くに側道からの合流部がある複雑な形状となっており、流れが悪くなる。

 2015年の道路交通センサスによると、ガス局前―坂下両交差点間を含む仙台松島線の1・8キロ区間は混雑時の上りで時速11・0キロ。昼間の混雑していない時と比べて約28%の速度低下が見られ、ゆっくり走った自転車と変わらない。

 市中心部に向かう通勤ラッシュは、市道連坊小路線(若林区五橋3丁目―連坊小路)の西行き、県道仙台泉線の青葉区台原から北四番丁通にかけての南行きも複数の回答が寄せられた。

 連坊小路線は2017年の交通量が1万2643台で、近年横ばいの傾向となっている。朝夕に交通量が集中するとみられ、愛宕上杉通との交差点を先頭に車列が延びがちだ。

 仙台泉線は沿道の大規模住宅地から流れ込む車が多い。仙台北署近くの昭和町交差点の交通量は日中3万9943台で、午前7時台は3647台。約500メートル西に進んだ通町2丁目交差点と合わせてジグザグになるため、流れが滞る。通町2丁目交差点を含む仙台泉線1・0キロ区間は混雑時の上りで時速12・6キロとなっている。

坂下交差点

「平日・昼」

 市中心部が全般的に混み合う。広瀬通は7件、他の時間帯も合わせると16件が集まった。川内トンネル出口から宮城野橋にかけての両方向で流れが悪くなる。東二番丁通(国道286号)との交差点の交通量は6万2182台に上り、時間帯による増減が少ない。

 東北大学病院周辺の県道仙台村田線や西公園通を挙げた回答もあった。

平日の昼間に混み合う広瀬通=2022年4月(写真の一部を加工しています)

「平日・夜」

 旧仙台市立病院前交差点(地図③)は都心から愛宕大橋(地図④)を渡り、長町や八木山の方面に向かう車で混雑する。11件を集め、休日・夜も4件あった。いずれも目抜き通りの東二番丁通と愛宕上杉通が「Y字」で合流し、日中に5万4531台が行き来する。

 その先も500メートルほどの間隔で荒町、越路、宮沢橋の交差点があり、車の出入りが激しい。荒町交差点―愛宕大橋間の400メートル区間は混雑時の上り時速19・2キロに対し、下りが16・8キロとなっている。

 市は2019年から宮沢橋(地図⑤)の架け替え工事を進めている。2024年度末に開通する予定。国道286号との交差点が十字路になり、片側2車線に増える。市道路計画課は「仙台駅東地区へのアクセスが良くなるとともに、愛宕大橋周辺の渋滞の解消も見込まれる」と期待する。

大きな通りが合流する旧仙台市立病院前交差点=2022年4月
旧仙台市立病院前交差点

「休日・朝」

 「特にない」とする回答がほとんど。青葉区の広瀬通、宮城野区のガス局前交差点などが挙がった。

「休日・昼」

 仙台駅西口や広瀬通といった市中心部のほか、仙台駅東口が3件を集めた。郊外にある大型商業施設周辺の渋滞を挙げた回答も目立った。具体的には太白区の長町やあすと長町、宮城野区の幸町、泉区の泉中央や寺岡、県道仙台松島線(利府街道)などに回答が割れた。

「休日・夜」

 おおむね「平日・夜」などと同様の傾向が見られた。これまでに挙げた以外の地点では、西道路の東行き、国道286号の太白区西多賀の西行き、青葉区堤通雨宮町の愛宕上杉通りの北行きなどだった。

六丁目、鹿の又、箱堤… 難所の仙台バイパス

 国道4号仙台バイパスに関わる回答は計25件あった。このうち個別地点は六丁目交差点(若林区)6件、鹿の又交差点(太白区)4件、箱堤交差点(宮城野区)3件などだった。

 箱堤―六丁目両交差点間の日中の交通量は5万955台。仙台市中央卸売市場(若林区)や物流拠点が周辺に広がり、日中の走行車両のうち大型車が約15%と高い割合で交じる。

 現在は山崎交差点―苦竹インターチェンジ(IC、宮城野区)間で交差点が立体化されている。立体化が途切れる苦竹IC以南は流れが悪くなり、渋滞や事故が起きやすくなっている。苦竹IC―箱堤交差点間の上りは渋滞時の平均速度が13・0キロで、苦竹IC以北の手前区間より9キロ落ち込む。

 ボトルネック解消のため、東北地方整備局は2020年から、箱堤交差点の立体化工事を進めている。24年度に開通する見通し。

 広瀬川の南にある鹿の又、篭ノ瀬(太白区)の両交差点も2021年から立体交差化に着手している。広瀬川にかかる千代大橋がボトルネックとなって、朝は北向き、夜は南向きが混雑する。完成時期は未定。

 六丁目交差点は「X字」に近い形状で鋭角に交わり、右・左折車線を含めて10車線になっており、ドライバー泣かせになっている。日本損害保険協会(東京)がまとめる全国交通事故多発交差点マップで、県内で最も多くの人身事故が発生した交差点に2020年まで7年連続でワーストとなっている。

六丁目交差点

「早めに出発を」「平常心で我慢」【運転手からアドバイス】

 アンケートで、渋滞を避けるこつ、心構えについても尋ねた。「5分10分早めに出発する」「心穏やかに。平常心で我慢」「車線ごとの流れを読む」「朝の通勤時間は踏切のある経路は避ける」「ラジオやナビの交通情報を参考にする」などの助言が寄せられた。

 抜け道や迂回(うかい)路の利用は賛否が同数程度あった。推奨しない理由として「道幅が狭かったり、生活道路だったりするので、事故のリスクが高まる。10分も変わらない」と指摘する声があった。

 コロナ禍による変化は、渋滞が「減った」とする回答は「増えた」より多かった。「交通量は一時期大幅に減り、最近は戻りつつあるが、コロナ前よりは少ない」「定時帰宅が増えたためか、午後5時半~6時半の交通量は増えた」などの意見があった。

▷▷▷仙台に渋滞スポット126ーーー行政が選定

 東北地方整備局、宮城県、県内の28市町村などでつくる宮城県渋滞対策連絡協議会は主要渋滞箇所を選定している。4月現在、県内で224カ所、うち仙台市内に126カ所ある。朝夕に時速20キロ以下が発生することなどで地点を抽出し、道路管理者からの意見を踏まえて決める。

 センサスによると、仙台市内の商業地で一般道路の混雑時の平均時速は2005年に16・4キロだった。10年は17・8キロに改善したが、直近の15年は14・8キロに悪化した。

 各地方の中核都市と比べると、札幌20・1キロ、新潟14・1キロ、静岡16・7キロ、名古屋15・7キロ、広島14・9キロ、福岡13・0キロとなっている。

▷▷▷車社会、データでも裏付けーーー高い保有率

 自動車検査登録情報協会によると、仙台市の1世帯当たり自家用車数(登録車と軽自動車)は1・016台。保有台数が50万以上の9都市で1を上回っているのは浜松市と仙台市だけだ。

 仙台都市圏パーソントリップ調査(2017年)によると、市民が平日に使う交通手段のうち、自動車の割合は47%を占める。前回調査(2002年)までは増加傾向だったが、2017年調査で初めて横ばいとなった。15~24歳の若者層は自動車利用の割合が26%から19%に減った。

 仙台市道路計画課は「路線バス、鉄道などの公共交通の利便性や分かりやすさを向上させ、自家用車に過度に依存しない交通体系の実現に向けて取り組んでいきたい」と話す。

▷▷▷渋滞損失「1人年40時間」ーーー国交省試算

 国交省の2012年試算によると、渋滞による損失時間は1人当たり年間40時間。渋滞がないと仮定した車の移動時速と実際の時速の差で、道路での移動時間の約4割に相当する。欧米の主要都市の約2割と比べて大きい。280万人分の労働力に匹敵するとされ、社会的損失が生じている。

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