無心になる<ツール・ド・東北への道(3)>

JR石巻駅近くの「サイボーグ009」の像。無心ではあったが空腹だったので近くの店でマーボーラーメンを食べた。「とてもおいしい」という感情に揺さぶられた=7月23日午後

 ツール・ド・東北のコースを走ってみようと思い、仙台から石巻を目指した。梅雨明けから気温30度を超える日が続いていたが、谷間のような曇りの予報。これ幸いと家を出た。

 しばらくして霧雨になり、やがて小雨に変わった。ぬれた路面はとにかく滑る。転んだところに車が来たら命に関わる。コンビニの軒先でしばらく様子を見ることにした。雨宿りなんて久しぶり。もしかすると「昭和」以来かもしれない。

 雨がやんだので走りだしたら、真夏の太陽が照り付ける。おまけに跳ね上げた泥水で尻がぬれる。「はっきりしない天気だな」と悪態をついていたら、仏教の本に書かれていた言葉が脳裏をよぎった。「起きたことに感情を揺さぶられず、ただ受け止めなさい」と。

 無心になってペダルを回すことに集中した。すると、暑さもぬれた体も不思議と気にならなくなった。

 55キロ走って昼すぎに石巻駅に到着。ツール・ドのコースに向かうつもりだったが、やめた。充実感を味わえたので、ここまでにしよう。自然な気持ちに逆らって先に進めば、「無心」に反するのではないか。輪行バッグに自転車を入れ、JR仙石線で帰途についた。(う)

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 9月19日の開催まで2カ月を切った「ツール・ド・東北」。コンテンツセンターのデスクと記者が出場までの日々をつづる。

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