社説(7/30):コロナ感染者過去最多/危機感共有し対策徹底を

 新型コロナウイルス感染の「第5波」の拡大に歯止めがかからない。きのうは全国で1日としては初めて1万人を超す新規感染者が確認された。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置下の首都圏1都3県で感染者の約6割を占めたことは、そうした対策がもはや限界に来ていることを示している。このままでは、感染爆発が地方に広がる恐れが現実味を帯びてくる。

 感染者急増の要因は、感染力の強いインド由来のデルタ株が、ワクチン未接種者が多い20~50代を直撃していることにある。人の流れの減少幅が、前回の緊急事態宣言時より小さいことも大きい。

 問題は、そうした状況にもかかわらず、政府、自治体、国民の間で危機感を共有できていないことだ。

 政府の感染症対策分科会の尾身茂会長はきのうの参院内閣委員会の閉会中審査で、危機感が共有されない状況が続けば感染がさらに拡大し、「いずれ医療体制が深刻化する」と警告を発した。

 尾身氏は政府に強いメッセージを発信することも求めたが、菅義偉首相の最近の発言からは強い危機感は伝わってこない。小池百合子都知事も同様だ。

 都内では、1月の第3波よりも高齢者の感染の割合が減っている。重症者も少ない。感染者数だけを取り上げることを疑問視する声がある一方で、感染者が増えれば中等症や重症の患者が増加するリスクは高まる。手術の延期などコロナ以外の治療にも影響を与えており、医療現場は再び逼迫(ひっぱく)しつつある。決して楽観できない。

 懸念されるのは、首都圏の感染爆発が地方に及ぶことだ。東北でも福島、宮城をはじめ感染者が増加傾向にある。学校は夏休みに入っており、お盆には県境をまたぐ移動の増加が予想される。各県は帰省や旅行を控えるよう強く呼び掛けるべきだ。

 国民の間には、自粛疲れや相次ぐ宣言への慣れがある。政府や都が不要不急の外出自粛や移動の抑制を求める一方で、東京五輪の開催に踏み切ったことが矛盾したメッセージと受け取られ、要請に協力しようという意識の低下につながっている面は否めない。

 菅首相が感染対策の切り札とするワクチン接種も鈍化している。経済活動の制限をこれ以上広げることも、経済の疲弊ぶりを考えると難しいものがある。尾身氏が「今の感染を下げる要素はあまりない」と言うように、八方ふさがりな状況にある。

 だからといって、手をこまねいているわけにはいかない。不要不急の外出を避け、人との接触を極力減らし、マスクの着用や手洗いを励行する。感染対策の基本を徹底し、ワクチン接種が行き渡るのを待つ。自らの身を守るには、現状ではそれが最善の策であることを再認識し、実践するしかない。

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