多様な不登校対策へ民間活用を NPO法人「アスイク」代表理事 大橋雄介氏<コロナ後の仙台市政に提言>

 仙台市長選(8月1日投開票)は選挙戦の折り返しを迎えた。目下の重要争点は喫緊の新型コロナウイルス対策だが、収束後を見据えたまちづくりの論戦も期待される。ポストコロナの仙台はどこへ向かうべきなのか。各分野の有識者に聞いた。

 -仙台市でも不登校の児童生徒が多くなっている。

 「2019年ごろから小学1~4年の不登校相談が目に見えて増えている。全体でも月10件ほど不登校の問い合わせが続く。市内の3カ所で運営するフリースクールは15年の開設から登録者が年々増え、キャパシティーが逼迫(ひっぱく)しつつある」

 「不登校は発達の特性、家庭の問題、学校の態勢など個別で多様な事情が絡んだ末の現象で、要因を捉えることが難しい。保護者の意識も『学校が全てではない』と変わってきている」

 -市はこの4年間、いじめ・不登校対策に力を入れたが、現場の意識改革が不十分との指摘もある。

 「多様な人間が共存する社会ではいじめも不登校も起こり得る。命や人権に関わる事案は当然に介入すべきだが、ゼロを政策目標にするとひずみが生じ、現場のプレッシャーにもつながる。起きることを前提に、一人一人が生きやすい道を探るアプローチが重要。教員を評価する側も、対応を重視するといったメッセージを示すべきではないか」

 「不登校対策の目的が定まらない印象もある。教育機会確保法(17年施行)は学校復帰を大前提とした対応の見直しを促したが、保護者らからは復帰に偏った指導が残ると不満も聞く。小学1~4年に加え、義務教育が終わり継続的なフォローや支援が手薄になりがちな高校生らを対象にした居場所の充実も急務だ」

 -不登校対策に取り組む行政に求めたい姿勢は。

 「学校や教育委員会の中で解決しようとする施策が多いが、民間の力を活用し協働で子どもたちに多様な選択肢を示す段階に来ている。民間のフリースクールの存続や居場所づくりのサポートも求めたい。居場所が増えることは、子どもが親や先生、相談機関に話せない悩みを第三者に明かす機会にもつながる」

 -学びの多様性が認知される中、子どもの悩みに社会はどう向き合うべきか。

 「『不登校イコール問題ではない』との考え方をより浸透させる必要がある。レッテルを貼るのではなく、何に困り、どんな状況に置かれているかを見る意識を持ちたい。責任を持って『学校だけが全てではないよ』と言うためには、子どもが『ちゃんと生きていけるんだ』と思えるようなモデルを大人たちがつくっていかなくてはならない」
(聞き手は報道部・柴崎吉敬)

 おおはし・ゆうすけ 福島市出身。筑波大卒。東日本大震災後、仙台市内の避難所で学習支援活動を始め、2011年にNPO法人「アスイク」を設立した。県内36拠点で学習サポートを展開するほか、フリースクールの運営や子ども食堂の開催などを通し、子どもの居場所づくりにも力を入れる。41歳。

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