<とびらを開く>命守る教訓 次世代へ 一般社団法人「健太いのちの教室」

「健太いのちの農園」の入り口=7月
同農園に展示されている伝承活動中の写真など

 大崎市の田村孝行さん、弘美さん夫妻は、東日本大震災の津波で息子の健太さんを亡くしました。当時健太さんは、12人が死亡・行方不明になった七十七銀行女川支店(宮城県女川町)に勤務中でした。2人は7年ほど前から、女川で被災地を訪れる人に被災状況や教訓を伝えています。被災者家族会としての活動のほか、「いのちを大切にする社会づくり」を目指し、2019年11月に一般社団法人「健太いのちの教室」を設立。孝行さんは早期退職を機に翌年4月から活動に専念しています。

 特に災害から命を守る教訓の伝承や講演を通じ、企業と地域の防災力向上に力を入れています。震災で大きな被害を出した反省から導かれた教訓を発信し、防災意識を高めようと取り組まれています。

 新型コロナウイルス禍を踏まえ今年7月、防災の専門家らをゲストに招くオンライン学習会「まなびの広場」を始めました。第1回が11日に開かれ、田村さん夫妻が震災での女川の事例を「企業管理下の社員の命をどう守るか」と題し報告。津波防災に詳しいゲストの永野海弁護士は津波訴訟の事例を紹介し、避難行動への理解を深めました。

 第2回は8月29日にあり、ゲストとして防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実さんが参加する予定です。

 宮城県松島町の弘美さんの実家の空きスペースや畑を生かし、「健太いのちの農園」と名付けた集える場も作りました。女川で出会った人々が訪れることもあり「お茶っこもできるよう」改装しました。オンライン学習会の配信もこの場からしています。畑で育てた野菜を遠方に住む活動の支援者に送り、交流を続けていると言います。

 健太さんが生きた証しとともに命を守る避難行動を企業、学校、地域、特に若い世代へ伝えていきたいと穏やかに話す2人。震災10年となり「語り継ぐことが未来の命を救う」。決意を新たにする姿が印象的でした。(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 青木ユカリ)

◎参考情報
一般社団法人健太いのちの教室
電 話     090(8928)5483
電子メール   tamuken@ark.ocn.ne.jp
ホームページ  http://www.kenta-inochiclass.com
フェイスブック https://www.facebook.com/terrace.yagiyama/

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