【動画】東北の夏にひんやり鍾乳洞 洞窟学会長お薦めの楽しみ方

ニョキニョキと生えたような氷筍が観察できる内間木洞=2004年2月
山田努氏

 東北には龍泉洞(岩手県岩泉町)あぶくま洞(福島県田村市)など、国内でも指折りの鍾乳洞があります。ひんやりと涼しい洞窟探検は、厳しい夏にぴったりです。日本洞窟学会の山田努会長(東北大高度教養教育・学生支援機構助教)に鍾乳洞の楽しみ方を教わりました。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

あぶくま洞に行ってみた

 ―鍾乳洞とは何ですか。

 「その前に、鍾乳洞を含む洞窟を『大地にある、人がすっぽりと入る大きさの空間』だとします。トンネルや坑道といった人工物を除き、自然にどのように作られたかによって分類すると次の3種類となります」

 「(1)岩石が溶かされた溶食洞窟(2)水や風で削られた浸食洞窟(3)火山の噴火でできた火山洞窟―です。鍾乳洞は(1)の溶食洞窟に含まれます。一般に鍾乳洞と呼ばれるものは、石灰岩が溶けてできた空洞に炭酸カルシウムの二次生成物、いわゆる鍾乳石ができた洞窟です」

 ―鍾乳洞は国内に幾つありますか。

 「正確な数字は誰も知りません。長さ1キロ以上の洞窟は約90カ所あり、人が入れるほどの洞窟を含めると数千はあるだろうと言われています。毎年、新しい洞窟が見つかっています」

 「現在、東北で一般に公開されている鍾乳洞は岩手県の北上山地、福島県の阿武隈高地に計8カ所あります。宮城県にも気仙沼市の神明崎や中才地区に鍾乳洞がありますが、規模が大きくないので観光地化されていません」

日本最長23.7キロの鍾乳洞「安家洞」=2015年

 ―鍾乳洞の中が涼しいのはなぜですか。

 「実は涼しく感じるのは夏で、冬に行けば温かく感じるはずです。地下にある鍾乳洞には太陽エネルギーが届かないので、一年を通して気温がほとんど変わりません。その地域の年平均気温と同じぐらいになります。龍泉洞は10度前後、あぶくま洞は15度前後です」

 ―鍾乳洞にはどんな生物がいますか。

 「代表格はコウモリでしょう。夏の初めに出産し、夏場は子育て期になります。コウモリはえさを食べに出入りしますが、洞窟内で一生を終える生物も非常に多くの種類がいます。目が退化したチビゴミムシなど体長数ミリ程度の昆虫類、ホラアナゴマオカチグサといった小さな巻き貝類がおり、独特の生態系が広がっています」

龍泉洞にある青く澄んだ地底湖=2017年5月

 ―鍾乳洞に入る際の注意点はありますか。

 「足元がぬれていて滑りやすいのでサンダルやヒールは避け、滑りにくい靴にしましょう。防寒具もあるといいでしょう。懐中電灯を持っていき、さまざまな種類の鍾乳石を探すのも楽しいと思います」

 「人が入れば鍾乳洞の環境をどうしても乱してしまいますが、入って観察しないと価値が分かりません。食べ物を持ち込まない、ごみを落とさないといった最低限のルールは守りましょう」

 ―鍾乳洞のどんなところに魅力を感じますか。

 「鍾乳石はおおよそ100年で1センチ伸びると言われています。それ以前に、空洞ができるのにも何万年、何十万年という長い時間がかかっています。よく観察すると、いろんなヒントが隠れています。ここを水が流れて、こう溶けたんだなというふうに想像を膨らませて、昔に思いをはせる。それが楽しいですね」

 「いきなり鍾乳洞に行って『涼しいね』『すごいね』というのもいいですが、鍾乳石の成り立ちや種類などを頭に入れておくと見方が変わり、より深く楽しめると思いますよ」

滝観洞の「天の岩戸の滝」は洞窟内の滝としては国内最大級だ=2021年7月

 ―日本洞窟学会の取り組みを教えてください。

 「1975年に発足し、会員は200人以上います。地質学や生物学にまたがる『洞窟学』を研究しています。洞窟探検(ケイビング)に関わるルールの整備なども行っています」

 「実は2021、22年は『国際洞窟・カルスト年』です。地表の約2割を占めるカルスト(石灰岩地帯)や、石灰岩が溶けてできた洞窟に親しんでもらおうと、国際洞窟学連合が提唱しています。本学会もプロジェクトに参加していて、洞窟について学ぶ機会を提供していきたいと考えています」

あぶくま洞は高さ29メートルを誇る大空間がある=2021年8月

▽内間木洞(岩手県久慈市)

 総延長約6300メートルは国内第5位。冬は天井から落ちた水滴がタケノコ状に凍る「氷筍(ひょうじゅん)」が発生する。7月第2日曜の祭り、2月第2日曜の氷筍観察会の時に入り口付近が一般公開される。新型コロナの影響で21年はいずれも中止した。連絡先は久慈市教育委員会文化課0194(52)2700。

▽安家(あっか)洞(岩手県岩泉町)

 総延長約23・7キロは国内最長。入り口から500メートルが一般公開されている。国の天然記念物。料金は大人1000円、小中学生600円。期間は4月中旬~11月末。時間は午前10時~午後4時(黄金週間と8月は午後4時半)。連絡先は事務所0194(24)2011、携帯電話090(4313)7101。

▽龍泉洞(岩手県岩泉町)

 日本三大鍾乳洞の一つとされる。洞窟とコウモリが国の天然記念物。総延長約4000メートルのうち、700メートルを公開。第3地底湖は水深98メートルある。料金は大人1100円、小中学生550円。時間は午前10時~午後4時に短縮中。連絡先は0194(22)2566。

▽船久保洞窟(岩手県紫波町)

 長さ約170メートルと小規模ながら、鍾乳石が豊富。縄文時代の土器などが見つかり、住居跡として県史跡に指定されている。見学は事前予約が必要。料金は大人300円、子ども200円。連絡先は赤沢公民館080(1652)6695。

▽滝観(ろうかん)洞(岩手県住田町)

 落差29メートルの滝がある。総延長約4800メートルのうち、880メートルが公開されている。映画「八つ墓村」のロケ地にもなった。料金は大人1100円、小中学生500円。11月から2月までは土日祝日のみ営業。時間は午前8時半~午後4時半(冬季は午後4時)。連絡先は0192(48)2756。

▽幽玄洞(岩手県一関市)

 ウミユリの化石、エメラルドグリーンの地底湖が見られる。料金は大人1100円、中学生600円、小学生400円。時間は午前8時半~午後6時(10~11月は午後5時)。12月~3月は午前9時~午後4時。連絡先は0191(47)3303。

▽入水(いりみず)鍾乳洞(福島県田村市)

 Aコースは入り口から150メートル、Bコースは600メートル、Cコースは900メートル。Bコース以降は膝まで水につかりながら進み、本格的な探検気分が味わえる。国の天然記念物。料金はAコース大人600円、小中学生500円、Bコース大人800円、小中学生600円、Cコースは5人まで6000円。時間は午前8時半~午後5時(冬季は午後4時半)。連絡先は0247(78)3393。

▽あぶくま洞(福島県田村市)

 公開されている延長は約600メートル。「滝根御殿」と名付けられたホールは高さ29メートルあり、多種多様な鍾乳石が観察できる。料金は大人1200円、中学生800円、小学生600円。200円を追加する探検コースもある。時間は午前8時半~午後5時半(冬季は4時半)。連絡先は0247(78)2125。

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