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共通テスト科目変更、宮教大方針変えず 戸惑う保護者、高等学校長協会は「経緯検証を」

 宮城教育大が2022年度入試で大学入学共通テストの指定科目を変更し、高校や生徒側が反発している問題で、受験生の保護者から宮教大への不満の声が河北新報社に寄せられた。問題を指摘した報道を受け、宮教大は方針を変更しないとする見解文書を改めて公表。保護者は「受験生への配慮が全くない」と憤る。

 3日付の本紙朝刊記事を読み「読者とともに 特別報道室」に意見を寄せたのは、仙台市宮城野区に住む公立高3年の男子生徒(18)の母親(53)。「教師を目指す息子が宮教大を志望校にしており、戸惑いを感じている」という。

 宮教大は学部改組に伴う入試改革の一環で、共通テストの指定科目を従来の「地理歴史・公民から2科目」でなく「地理歴史から1科目と公民から1科目」に変更。だが、昨年12月の公表に際し変更を明示しなかった上、入試教科・科目の変更は2年程度前までに予告・公表するよう求める文部科学省のルールも守らなかった。

 男子生徒は地理と世界史を選んで勉強してきた。母親は「塾に通わず、独学で公民の勉強は厳しい。県外に志望校を変えるしかない」と嘆く。宮教大には「公表時期が遅すぎる。変更について納得できる説明もない」と怒りを隠さない。

 宮教大は4日、ホームページで「河北新報8月3日付けの記事について-大学入学共通テストの指定科目の変更ほか-」と題した文書を公表。科目変更は「修学に必要な力を全般的に身に付けているか判断するため」と説明し、公表時期は「できるだけ早めに詳細に理解いただけるよう広報に努めてきた」と主張した。

 一方、文科省のルールに抵触することや、実際に志望校変更を迫られている受験生がいることへの言及はなかった。

 6月に科目変更の見直しを求める要望書を宮教大に提出した宮城県高等学校長協会の佐々木克敬会長(仙台三高校長)は「実際に困惑している生徒や保護者、学校関係者がおり、公表時期、周知方法とも妥当だったとは到底考えられない。大学側は一連の経緯を検証すべきだ」と話す。
(岩田裕貴)

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