宮教大、受験科目を突如変更 志望者ら混乱 大学側「文科省と協議済み」

 東北唯一の教員養成系単科大の宮城教育大が、2022年度入試で大学入学共通テストの指定科目を突然変更し、受験生が混乱している。宮城県高等学校長協会が見直しを求め、文部科学省も「ルール違反」を指摘したが、宮教大は応じない構えだ。

 「志望校の見直しが必要なのだろうか」

 宮城県内有数の進学校に通う仙台市宮城野区の高校3年の男子生徒(18)は、受験の命運を握るとされる夏休みに入っても、勉強に身が入らない。社会科教員を目指し、高校1年時から第1志望にしてきた宮教大が入試の指定科目を変え、ショックを受けたためだ。

 宮教大は22年度に実施する学部改組に伴う入試改革の一環で、共通テストの指定科目を従来の「地理歴史・公民から2科目」でなく「地理歴史から1科目と公民から1科目」とした。

 男子生徒が気付いたのは5月。世界史と地理を選んで受けた大手予備校の模試結果で、宮教大の合格可能性の欄に教科・科目数不足を示す「G」判定が表示された。学校側も男子生徒からの相談で初めて変更の事実を知った。

[共通テストの指定科目]大学入試改革の一環で大学入試センター試験に替わり、共通テストが1月に初実施された。出題科目は国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目あり、原則最大8科目受験できる。合否判定に用いる科目は大学ごとに違うため、受験生は志望校が指定する科目を選択して試験を受ける必要がある。

 宮教大は昨年12月、ホームページで「学部改組に係る入学者選抜方法について(予告)」と題した文書を公表。科目変更については明示せず、別紙の指定科目一覧にひっそりと掲載しただけだった。

 文科省は入試の教科・科目の変更が大きな影響を及ぼす場合、2年程度前には予告・公表する「2年前ルール」を定める。入試約1年前の昨年12月の公表は、このルールに抵触する。

 学校から相談された県高等学校長協会は6月下旬、宮教大に科目変更の見直しを求める要望書を提出。「受験情報誌にも反映されておらず、広く周知されているとは言い難い。志願者らは2年時から選択科目の学習を進めており、大いに困惑している」と指摘した。

 事態を把握した文科省大学入試室も宮教大に「科目変更が1年前では遅く、2年前ルールを順守するよう伝えた」が、宮教大は7月8日、入学者選抜要項を正式に公表した。同室は「ルールに法的拘束力はない」と困惑する。

 宮教大入試課は取材に「改組を文科省と協議し、整理できたものから公表してきた」と強調。志望校や科目の変更を迫られる受験生については「致し方ない。既に対応している受験生もおり、今からの見直しは混乱を生む」と説明する。

 男子生徒は7月末、世界史に代わり公民を受験科目にすると決めた。それでも「志望校自体も見直すべきか葛藤があり、まだ迷っている」と言う。
(岩田裕貴)

 この記事は「読者とともに 特別報道室」に寄せられた情報などを基に取材しました。

宮城県高等学校長協会が宮教大に提出した要望書
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