名監督たちを見守った「後ろ盾」<アニメージュとジブリ展(下)>

大塚さんの仕事ぶりを紹介するブース
大塚さんを特集したアニメージュ1980年1月号

 スタジオジブリ(東京都小金井市)の玄関フロアには、ジブリの活動に貢献のあった人たちの遺影が飾られている。徳間書店社長としてスタジオジブリを興した徳間康快氏、日本テレビ会長で徳間記念アニメーション文化財団初代理事長の氏家斉一郎氏、高畑勲氏の3人。この春、もう1人が加わった。写真の主は大塚康生さん(享年89)。高畑、宮崎駿両氏の作品に作画監督として参加し、数多くの秀作を世に残した名アニメーターだ。

 「設置は宮崎さんの発案です」。スタジオジブリ執行役員の野中晋輔さん(60)が明かす。ジブリ作品にメインスタッフとして関わったことのない大塚さんだが、宮崎さんをはじめ、後進に与えた影響は大きい。

会社側と交渉し有能な人材抜擢

 大塚さんは、宮崎さんが最初に入った東映動画(現東映アニメーション)の先輩。作画監督を務めた劇場用長編「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年)で、高畑さんを演出にするよう、会社側と交渉して実現。入社して数年の宮崎さんを最終的に主要スタッフに引き上げた。ともに劇場用の「パンダコパンダ」(72年)と「じゃりン子チエ」(81年)などで2人と机を並べ、技術・精神両面から支えた。

 大塚さんといえば、作画監督として宮崎さん(演出)と取り組んだテレビアニメ「未来少年コナン」(78年、NHK)の仕事が印象深い。卓越した技量に裏打ちされた緩急自在でダイナミックな動きの数々。悪役でさえも憎めない、ユーモアとペーソスをたたえた人物造形は、物語に温かみと豊かさを添えていた。

的確な修正でアニメ史に残る名場面に

 石巻市で開催中の「アニメージュとジブリ展 一冊の雑誌からジブリは始まった」(実行委員会主催)では、アニメージュ80年1月号の「大塚康生の世界」や、連載エッセー「作画汗まみれ」を中心に、功績を紹介している。

 会場には、代表作「ルパン三世カリオストロの城」(79年、宮崎監督)の1シーン「ルパン操るフィアットの爆走」が、線画映像で紹介されている。宮崎さんの緻密な画面構成を基にした友永和秀さんの原画に、大塚さんの的確な修正が加わった、アニメ史に残る名場面だ。

 遺影を飾った宮崎さんの思いについて、野中さんは「ジブリ作品に関して表立って何かをしたというわけではないが、宮崎さんにとっては、どこか気持ちの支えになっている人だったのだと思う」と語る。

 名監督たちの後ろ盾となって見守ってきた大塚さん。高度なテクニックの一端を味わえるほか、優しさに満ちた画面づくりも、展示の見どころの一つだ。

「アニメージュとジブリ展 一冊の雑誌からジブリは始まった」(実行委員会主催)は9月12日まで石巻市の市複合文化施設で開かれている。入場料は一般1500円、中高生1000円、小学生800円。連絡先は会場直通0225(22)0030。

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