社説(8/30):災害住宅の収入超過/家賃減免制度の創設検討を

 同じ被災者なのに、暮らす自治体によって対応が異なる。不公平感を改善するすべはないのだろうか。

 宮城県内にある東日本大震災の災害公営住宅で本年度、独自の家賃減免制度を備えていない10市町の計220世帯が「収入超過世帯」として家賃を割り増しされていた。退去が進んだ影響で、前年同期(8市町246世帯)よりも26世帯の減。4月以降も30以上の収入超過世帯が退去したという。

 10市町の収入超過世帯数は仙台市の167世帯(5月末現在)が最も多く、多賀城市26世帯、塩釜市12世帯(ともに4月末現在)の順。月額家賃の最高は仙台市の15万5300円で、次いで多賀城市15万1500円、塩釜市14万2100円。塩釜、多賀城両市では本年度に入り、家賃が最大で2、3倍に上がった。

 公営住宅は入居時に収入要件を定めて募集するが、被災者向けの災害公営住宅は特例として所得の多寡にかかわらず入居が認められた。入居3年後に所得月額が15万8000円を超えると収入超過世帯に認定される。住宅を明け渡す努力義務が生じ、4年目以降、収入に応じて段階的に家賃が引き上げられる。

 宮城県で災害公営住宅を整備したのは沿岸部などの21市町に上った。うち11市町は被災者の事情を酌んで独自に家賃割り増し分の減免措置を講じているが、残る10市町は実施していない。民間賃貸物件が多くある点や、他の公営住宅との家賃格差の均衡を図ることを主な理由にしている。

 「ついのすみか」と信じて住みながら不本意な転居を強いられ、中には家族との別居を選んだ人もいる。10市町では減免の要望が相次ぐ。

 仙台市若林区の災害公営住宅に暮らす女性は今年5月、「悩んでいる人を救う制度の実現を」と市に減免を求めた。だが、市は幅広い家賃設定の民間賃貸住宅に十分な空きがある点を挙げ「収入や生活条件など事情に応じた選択ができる」と応じていない。

 独自の減免制度を持つ11市町では収入超過世帯は計652世帯(4月末現在)。石巻市の286世帯を最多に東松島市88世帯、気仙沼市55世帯と続く。減免期間は「災害公営の管理開始から10年」を目安にする自治体が多い。割り増し家賃の発生を見越して退去したり、期間延長を求めたりする動きが出ている。

 岩手、福島両県は県営災害公営住宅の家賃上限を引き下げる支援策を導入している。一方、宮城県は県営災害公営住宅を整備しておらず、統一的な支援策も取っていない。

 震災で住まいを失い、暮らし再建の途上でまたも変更を強いられる。そんな不利益の解消を図りたい。関係自治体は減免制度の創設や継続、県内での一律の支援策を検討すべきだろう。安心して住み続けられる制度の設計に努めてほしい。

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