(57)流星はすべてが一縷胸に谷/高野 ムツオ(1947年~)
広い夜空に、すっすっと糸を引く多くの流れ星。「胸に谷」で山の湯宿の露天風呂を思ったが、あるいは温泉の奇岩に母の胸の面影を見ているのかも。とすると「一縷(いちる)」の星の光には、母の、そして自らの命も…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。