八戸、夜の街の人影まばら 時短要請に協力金も「すずめの涙」

 新型コロナウイルスの感染急増を受け、八戸市中心部の酒類を提供する飲食店に対して青森県が要請した時間短縮営業が始まった。大半の店が要請に従って、午後8時までに閉店。中にはわずかな時間の営業を諦め、期間中の完全休業を決めた店もある。人影がまばらになった繁華街の関係者は、苦境に耐えながらコロナが収束するのを静かに待っている。(青森総局・高田瑞輝)

営業を終え、店の明かりが次々と消えた飲食店街=3日午後8時ごろ、八戸市の八戸屋台村みろく横丁

 八戸市三日町と六日町にまたがり、20店以上の店が軒を連ねる「八戸屋台村みろく横丁」では3日、時短営業が1日にスタートして初の金曜日を迎えた。

 午後7時半すぎ、ネパール料理やビールでもてなす「ラリ・グラス すみれ」店主の松山きく子さん(68)は店じまいの準備をしながら、申し訳なさそうに常連の酔客に退店を促した。

 「コロナ禍の前は、歩けないほど路地に人が押し寄せ、黙っていても席が埋まった」と、かつてのにぎわいに思いをはせる。8月中旬になってコロナが市内で猛威を振るいだすと、さらに客足は遠のいた。それでも店を訪ねてくれる人はいるが、今は午後7時台でも閉店間際。断るしかない。

 時短エリアは三日町、六日町のほか、岩泉町、鷹匠小路など市中心部の8地区。県は午前5時~午後8時の範囲で営業を求める。飲食店約800店のうち要請に応じた酒類提供店を対象に、売上金などに基づいて算定した協力金が支払われる。

 今月1~12日の期間中、松山さんは時短営業を守って協力金を受け取るつもりだが「すずめの涙ほどにしかならないだろう。店の賃料を支払うには心もとない」と不満を漏らす。

 八戸市の感染者は8月、加速度的に増加した。飲食店2店でクラスター(感染者集団)も発生。三戸郡などを含む八戸地域医療圏では同31日現在、人口10万人当たりの1週間の新規感染者数は133・1人と、政府の分科会が示す「ステージ4」(爆発的感染拡大)の25人を大幅に上回った。

 六日町でバーを経営する男性(59)は「午後7時開店だと営業できるのは1時間しかない」として、時短ではなく休業を選択した。バーという性格上、深夜帯の2次会需要を見込めなければ、営業するメリットは少ない。開店時刻の前倒しも考えなかった。

 県が時短要請を決めたのは8月30日。男性はお盆ごろ、街を行き交う若者が増えたと感じた。「感染急拡大の兆しはあった。行政はもっと早く決断できなかったか。時短ではなく休業要請してもいいくらいだ。中途半端で行き当たりばったりの対策では、収束はおぼつかない」と憤る。

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