自分自身を好きでいい 気仙沼の女性、コンテストのファイナリストに

気仙沼湾を背に笑顔を見せる佐藤さん=気仙沼市南町海岸

 ふくよかな体形の女性が自分らしい美しさを競う日本初のコンテストで、宮城県気仙沼市の佐藤実由さん(23)がファイナリストになった。実由さんは東日本大震災の津波で親族を亡くし、強いストレスで過食に陥ったが、やっと前向きさを取り戻した。最終選考に向け「誰もが自分自身を好きでいいんだというメッセージを届けたい」と意気込む。

 コンテストは「Today’s Woman」。実由さんはオンライン審査などで20~39歳部門のファイナリスト21人に残った。10月24日に東京で開催予定の最終選考に挑む。

 震災時は市内の津谷中1年。同じ敷地内で暮らす母れい子さん(62)の兄の妻、佐藤厚子さん=当時(58)=が避難先で津波にのまれた。

 ひとり親だったれい子さんは仕事で帰りが遅く、厚子さんは実由さんにとって母親代わりだった。「死ぬのが自分ならよかったのに」。涙があふれた。後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

 絶えず食べていないと落ち着かなくなった。箱入りのクッキーを1人で全部食べたり、夕食後にラーメン店に行ったり。「食べることが生きる意志の確認作業のようだった」。高校に入るまでに、身長は変わらないまま体重が30キロ増えた。

エキストラが転機に

 16歳の時には適応障害と診断された。学校生活は問題がないのに体調不良が続き、高校2年で中退した。その後も通院し、20歳から勤める市内の職場は昨年1月から休職している。

 転機になったのは、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」。エキストラに応募し、昨年10月の気仙沼ロケに参加した。祭りのシーンで目立たないよう端にいると、スタッフに中央へ促された。「いい笑顔」「現場が明るくなったよ」。周囲の言葉に、震災後初めて視界が晴れた気がした。

 不思議と気持ちの整理がつき、今年3月11日、初めて厚子さんの墓に手を合わせられた。笑顔を褒められたのに勇気づけられ、6月にコンテストに応募した。

 今の体形になり後悔したことはない。つらい時、食べなければ心が壊れていたかもしれないから。でも、体格をやゆされ傷つく人の気持ちも分かる。ありのままの体を受け入れる「ボディーポジティブ」が浸透し、個性が尊重される世の中になればと願う。

 今は絶対にグランプリになろうと自分を磨く。「今度は私の笑顔が誰かの希望になったら」。大会後は復職のための活動に力を注ぐつもりだ。

[Today ’s Woman]応募資格は20歳以上の女性で、服のサイズや年齢は問わない。ドレスやスピーチ審査で笑顔や表現力、自信を評価しグランプリを決める。多様なコンテストでトレーナーや審査員を務める米国出身のスティーブン・ヘインズさんが主催する。

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