郡山市、拡大路線へまい進 連携中枢都市圏に磐梯町も加入決定

 福島県郡山市を「盟主」とする連携中枢都市圏に、従来の枠組みを超えて福島県磐梯町が参加する見通しとなった。勢力拡大路線をひた走る郡山に、周辺の有力市や県は心中複雑。制度の本旨に照らせば無理筋の連携なのだが、平成の大合併に続く新たな手法でさらなる市町村再編を進めたい総務省は静観の構えだ。(郡山支局・矢野奨)

周辺自治体複雑、総務省は静観

 磐梯町の佐藤淳一町長が唐突に郡山市の品川万里市長の元を訪れたのは今年5月。翌月には品川市長が磐梯町を訪ね、瞬く間に「こおりやま広域連携中枢都市圏(こおりやま広域圏)」への加入が決まった。

 広域圏加盟の16市町村では既に議会への説明が始まっている。12月定例会で郡山市、磐梯町の両議会が連携協約を議決、年明けには正式締結の運びだ。

 こおりやま広域圏の概要は図の通り。面積で県土の4分の1、人口で県全体の3分の1を占める。二本松、本宮、猪苗代、大玉の4市町村は圏域を超えての参加。新たに磐梯が加わることで、いよいよ「県中県」の様相を呈し始めた。

 版図拡大に前のめりの郡山市。その狙いを市政策開発課は、右肩下がりの時代背景を踏まえた都市戦略に絡めて説明する。

 「確かに市単体で見れば人口も33万を割り込んだが、広域圏全体なら65万超。隣接する大玉村は、むしろ人口が増加している。構成市町村全体で持続可能な圏域を実現する」

 したたかな都市戦略に心穏やかでいられないのが周辺の有力市だ。こおりやま広域圏は福島、いわき、会津若松、白河の4市に境を接するほど膨張した。

 福島といわき両市も中心市の要件を満たしているが、福島は新型コロナウイルス禍で協議を一時停止せざるを得なかった。いわき市は周辺町村が東京電力第1原発事故の対応に追われ、広域圏発足どころではない。

 広域圏事業に直接関与できない県は表向き「参画市町村の自主性を重視し、オブザーバーとして見守っていきたい」(市町村行政課)としつつ、県幹部は「郡山の影響力がいびつなまでに拡大したのでは、かえって不協和音が生じるのでは」と眉をひそめた。

 「不協和音」の一例が、会津地方の各市町村で構成する一部事務組合との関係だ。役割が異なるとはいえ、猪苗代町に続いて磐梯町までもが郡山市に秋波を送る事態となった。

 会津地方のある首長は「感情的には面白くない」と率直。「境を接しているわけでもなく、生活圏も異なる磐梯町が郡山市と協約を結べるのか」と疑問視する。

 連携中枢都市圏の範囲は、総務省要綱で中心市へ通勤通学する住民の割合10%以上が原則。磐梯は4%で本来なら協定締結できないが、総務省は今回、特例的に承認する見通しだ。

 連携中枢都市圏には「周辺市町村の自主性が損なわれかねない」との疑念が付きまとうが、総務省はお構いなし。広域圏の各種事業には手厚く特別交付金を措置する。

 平成の大合併とその成果に懐疑的な県内の元首長は「生き残りを懸けた郡山市の拡大戦略には一理あるが、周辺市町村にとってはどうなのか。手にする交付金と効果を住民視点で冷静に比較考量すべきだ」と話す。

[連携中枢都市圏]人口20万以上の中心市と周辺市町村が協約を結んで圏域をつくり、雇用や教育、医療、福祉を一体的に提供する仕組み。行政サービスの向上や地域経済の活性化を図り、東京など大都市への人口流出を防ぐのが目的。連携事業は総務省の財政支援を受けられる。中心市の要件を満たしているのは各道府県庁所在市のほかに八戸、郡山、いわきなど。東北では郡山のほかに青森、八戸、盛岡、山形の各市が圏域を形成している。

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