「3年前の請求がなぜ今ごろ来るのか」。仙台市泉区の60代男性から「読者とともに 特別報道室」に疑問の声が寄せられた。今月上旬、東日本大震災の被災者向け市災害援護資金の2018~20年分返済に遅延があったとして、市から違約金の納入通知書が届いたという。取材を進めると、災害援護資金の電算システム構築に時間を要したことが原因と分かった。
男性宅は震災の大きな揺れで半壊と認定された。11年夏、同居する父親が、屋根などの修繕費として市から災害援護資金約200万円の貸し付けを受けた。返済が始まったのは18年。男性が父親に代わって年1回、約25万円を支払ってきた。
今月8日、男性が自宅に届いた封筒を開けると「違約金」の文字が目に飛び込んできた。同封の納入通知書には「7700円」と3年分の金額が印字されていた。父親が借り主だったため毎年の返済期限を知らせる通知に気付かず、延滞が生じていたことを初めて知った。
男性は「最初は何のことか分からなかった」と驚きを隠さない。「1回目の返済後、すぐに違約金を請求してくれれば、次回から延滞しないように気を付けたのに…」とこぼし、遅すぎる請求に不満を漏らした。
市はホームページに載せた災害援護資金の制度概要で、延滞時に違約金が発生する旨を明記している。貸し付けを開始した時点で違約金の請求は想定されたはずだが、なぜ3年もかかったのか。市災害援護資金課に説明を求めた。
担当者は「前例のない大災害で事前に準備ができなかった。電算システムの構築に3年を要し、請求が遅れた」と釈明した。理由は分かったが、それにしても3年は長い。質問を重ねると詳しい事情を明かした。
災害援護資金の返済は17年12月に始まり、市は18年度に電算システムの検討に入った。ところが、議論を重ねるうち課題が次々と表面化。特に、違約金の複雑な算出の仕組みがシステム構築のネックとなった。
災害援護資金は1年、半年、1カ月ごとの返済が選択できる。繰り上げ償還の有無も計算に影響する。延滞日数でも金額は変わる。被災者ごとに計算式が異なるため、制度設計に時間がかかったという。
18年5月に始まった災害援護資金の支払い猶予制度のシステム構築を優先させたことも一因となった。結局、違約金のシステム構築は20年度にずれ込んだ。
市が請求を開始したのは今年7月。17年12月~21年3月返済分、約1500件の納入通知書を順次送付している。違約金は1件数千円から数万円。4月返済分以降は来年度に請求する。
脇田清課長は「この先、返済期限を迎えるケースは多く、違約金請求が増えた場合に備えて(時間を要しても)システム構築は必要だった。事情によっては免除される場合もあり相談してほしい」と理解を求めた。
(布施谷吉一)
[災害援護資金]東日本大震災で負傷したり、住居が半壊以上の被害を受けたりした世帯に対し、市町村が最大350万円を貸し付ける制度。返済期間は13年。うち猶予期間は6~8年。仙台市は今年3月末時点で延べ約1万5000世帯に計約233億円を貸し付けた。既に約102億円分が返済期限を迎え、約81億円分は返済が完了、約21億円分は滞納が続いている。
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