河北春秋(9/20):時は幕末。まげを切り、洋装でパリの街を闊…

 時は幕末。まげを切り、洋装でパリの街を闊歩(かっぽ)する。幕臣渋沢栄一はどんな気分だったのだろう。NHK大河ドラマを見て想像した。渋沢が万国博覧会で世界の技術の進歩に触れたのは150年ほど前のことだ▼今月、デジタル庁が発足した。1年余りで退陣する菅義偉内閣の看板施策の一つ。契機は新型コロナウイルス感染拡大に伴う1人10万円の給付事業。オンライン申請の手続きが混乱し、行政システムのもろさを露呈した▼そもそも自治体のシステムは個々に異なる。平成の大合併では統合に多大な時間と費用を要した。岩手県大槌町は東日本大震災後、システムを共同利用する自治体クラウドの導入を近隣市町村に呼び掛け復興の足掛かりにしようともくろんだが、狙い通りにはいかなかった▼パソコンを児童生徒1人1台配備するGIGAスクール構想、人工知能を駆使し未来生活を先取りするスーパーシティ構想…。コロナ禍でデジタル改革は加速する。だが、事を急ぐあまりデジタルのよろいをまとうことが目的になっていないかと危惧する▼策を講じる理由は国民一人一人の幸福の実現にある。その到達点が、ぼんやりとしたまま。だから、国民の関心が高まらない。改革の指揮は、省庁横断のデジタル庁が握る。渋沢ならどうする。(2021・9・20)

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