河北春秋(9/16):ある刑事ドラマに「古轍(てつ)」という言…

 ある刑事ドラマに「古轍(てつ)」という言葉が出てくる。登場人物の一人が大事にする座右の銘。広辞苑によれば「故轍」。意味は以前に通過した車のわだち、前人の行ったやり方、前例とある▼これまで63人がさまざまな故轍を残してきた。日本の総理大臣である。第100代首相につながる自民党総裁選はあすから。立候補を表明した3人が軸となって争う。それぞれの政策は本紙が報じているので、ここでは座右の銘を▼宏池会会長の岸田文雄さんは「春風接人」。春風のようにどんな人間にも爽やかに接することと紹介。無派閥の高市早苗さんは「高い志 広い眼 深い心」。大切にするのは「国家観、信念」と記す。麻生派の河野太郎さんは公式サイトでも触れていないが、議員回りでサインを求められ「信」と書いた▼冒頭の「古轍」が登場するドラマは『相棒』。片桐竜次さん演じる内村刑事部長の部屋。壁に立派な「古轍」の書が飾られている。先達の教えを守るといえば聞こえはいいが、内村は前例踏襲で保身に走りがち。片桐さんの円熟味ある演技に言葉の深意がにじみ出るのだ▼菅内閣が発足してからきょうで1年。なぜ人心が離反したのか。論戦で浮き彫りにして刷新と改革の道筋を示してほしい。「古轍」を踏んでは元も子もない。(2021・9・16)

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