仕事が原因で脳出血や心筋梗塞などの脳・心臓疾患にかかった場合の労災認定基準が今月、20年ぶりに改正された。残業時間がいわゆる「過労死ライン」に達していなくても、不規則な勤務や身体的負荷なども総合的に考慮し、より柔軟に労災を認定できるようにする狙いだ。
働き方改革が進んでいるものの、過労死は後を絶たない。最新の知見を反映させた基準の見直しにより、働く人の実態に応じた救済が進むとともに、過重労働の抑止につながってほしい。
過労死ラインは、長時間労働に関する労災認定の目安。残業時間が「発症前2~6カ月の平均で月80時間」か「直近1カ月間で100時間」を超えた場合、業務と発症との関連性が強いとみなされる。新基準は過労死ラインを維持する一方、これに近い残業時間のほか、労働時間以外の負荷がある場合も発症との関連が強いと位置付けた。
具体的には、不規則な勤務として退社から次の出社までのインターバル時間の短さや休日のない連続勤務などを新たな評価対象に加え、身体的な負荷も追加した。
従来も、労災認定では勤務形態や作業環境などを考慮するのが基準だった。しかし、2020年度の脳・心臓疾患のうち、残業時間が80時間未満で労災認定された事例は1割以下にとどまるなど、残業時間のみで機械的に判断されやすいと指摘されていた。
20年度は784件の労災申請があり、194件(うち過労死67件)が認定されたが、申請に至らず埋もれた事例も多いだろう。新基準が適切に運用されれば認定の幅が広がり、過労死ラインに届かないからと申請をためらう傾向にも一定の歯止めとなる可能性がある。労働行政当局には趣旨に沿った運用を求めたい。
労災基準の改正は、厚生労働省の専門家会合が7月、最新の医学的知見や労災認定事例などを踏まえてまとめた報告書で提言していた。
過労死や過労自殺の抑止を国の責務と定めた過労死等防止対策推進法が14年に施行され、リスク要因などの解明に向けた調査研究が進んでいる。うつ病など精神障害の労災も、20年度の認定が608件と過去最多を更新し、未遂を含む自殺が81件に達するなど深刻。最新の知見を対策に生かすことが欠かせない。
今回維持された過労死ラインの妥当性は今後も議論が必要だ。過労死遺族や弁護士らは、世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)が残業が月65時間に及ぶと脳・心臓疾患のリスクが高まるとの調査結果を出したとして、ラインの引き下げを求めた。
兼業など働き方の多様化で労働時間の管理は難しくなっているとされ、新型コロナウイルス禍も重なる。新基準運用後の状況を聖域を設けず点検し、過労死撲滅に向けた取り組みを不断に見直したい。
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