同日選の日程「現職への配慮」いぶかる声 宮城知事選

 任期満了に伴う宮城県知事選は、衆院選(19日公示、31日投開票)が固まってようやく同日選が決まった。「選管は同日選にするよう最大限努力してほしい」。村井嘉浩知事(61)が8月の記者会見で、政治的な中立が求められる県選管に異例の注文を付けた通りになった。衆院選と同日選だった4年前の知事選で、史上最多の82万票を得て4選を果たした知事。「今回の決定は周囲の配慮が働いた」「知事と周辺のあうんの呼吸」といぶかる声もある。

副知事が首長に同日選への協力要請

 「『いよいよここまで来たか』という感じ。正直びっくりしている」。同日選が確定した翌7日、村井氏を支える県政与党の県議はこうつぶやいた。

 複数の関係者は、村井氏が5選出馬に当たり、前回の得票を大きく割り込むことを気に掛けていたと証言する。別の県議は「前回は同日選のブースト(増幅)が働いた。単発選挙で得票が目減りし、求心力が損なわれたように見られるのは政治家として嫌なものだ」と推し量る。

 知事選の日程は周知や準備のため任期満了の数カ月前に決めるのが通例だが、元自民県議の皆川章太郎氏が委員長を務める県選管は沈黙。村井氏の発言に沿うかのように9月28日、衆院選の投開票日として当初有力視された11月7日か翌週の14日に知事選を合わせる方針を決定した。

 岸田文雄首相が就任直後の今月4日、衆院選の10月実施を表明すると、県選管は「31日投開票の場合、どういった課題があるか」と市町村選管に照会。「準備が間に合わず厳しい」と返答するなどした一部自治体には、副知事が首長に電話をかけて同日選への協力を求め、駆け込み決着した。

 知事選の告示は1週間後に迫る。ある市幹部は「ここまでされたらやるしかない」と覚悟を決める一方、「いくらなんでも必死過ぎだ」となりふり構わぬ県の姿勢をぼやいた。

 立候補を表明した新人の医師長純一氏(55)の陣営にとって、選挙期間の前倒しは明らかに不利だ。県政野党の地方議員からは「ただでさえ短期決戦だったのに、準備期間がさらに短くなった」と恨み節が漏れた。

 「知事の直接的な働き掛けは見えず、表面的にはきれい」と評したのは、元県政関係者。「選管の事務局は行政職員が担う。首長と完全に切り離すのは難しい」と、独立機関ながら構造的な限界を指摘する。

 不満や疑念がくすぶる一方で、同日選のメリットを認める声も多い。選挙事務の効率化や経費の削減につながるだけでなく、同日選は投票率が上昇する傾向にある。前回知事選の投票率は53・29%で、前々回を16・71ポイントも上回った。

 「利点が多いのは分かる。ただ、知事が繊細な内容に言及し、周辺に指示とも取れる雰囲気を生み出したプロセスがまずい」とは与党県議。別の関係者も「ただでさえ多選が指摘されている。周囲にどう思われているか意識していないとすれば、問題の根は深い」と嘆息した。

知事選と衆院選の同日選を全会一致で決めた県選管の会合=6日夜、宮城県庁
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