<とびらを開く>NPO法人パソコン要約筆記文字の都仙台 情報提供で障壁除く

仙台市内のイベントで行われた情報保障の取り組み=2019年6月、市市民活動サポートセンター
宮城スタジアムでの研修で、映像装置の操作を学ぶ新人の学生ボランティアら=9月上旬

 2016年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行され、障害のある人が生活しづらい社会的バリアを取り除く「合理的配慮」の提供が求められるようになりました。視覚や聴覚に障害のある人へ情報提供する「情報保障」もその一つです。

 聴覚障害者への情報保障には手話通訳がありますが、難聴や突然聞こえなくなったなど手話が分からない人もいます。「そういう人にも有効なのが『要約筆記』です」と福元智美さん。NPO法人パソコン要約筆記文字の都仙台(仙台市)の理事の一人です。要約筆記は音声情報を文字化して聴覚障害者に通訳します。文字化には手書きとパソコン入力があり、後者を「パソコン要約筆記」と言います。

 新型コロナウイルス禍で多くのイベントが中止になり、パソコン要約筆記の依頼も減りました。文字の都仙台はモチベーション維持と技術向上のためオンラインで定例学習会を開催。オンラインのイベントや会議での要約筆記の依頼が来るようになりました。

 会場側のネット環境や音響機材などの課題もありますが、会場以外の場所からパソコン要約筆記を行うことも可能です。福元さんは「東日本大震災後から遠隔通訳の試みはあった。経験を積み重ね、やり方や制度なども整えていければ」と将来を見据えています。

 合理的配慮の提供が進み、情報保障があるイベントは増えていますが、当たり前に普及しているとまでは言えません。専門用語などは健常者にとっても聞き取りづらく分かりにくいものです。音声情報の文字化は障害の有無に限らず話を理解する助けになります。

 生活の面では、イベントや会議など改まった場ばかりではありません。世間話に加われず、寂しいこともあるそうです。「そういうことを知っていれば、困っている人はいないか、想像力を働かせ気配りすることができる」と福元さん。ゆっくり、はっきり話すだけでも聞き取りやすくなると教えてもらいました。

 今年4月、宮城県で「障害を理由とする差別を解消し障害のある人もない人も共生する社会づくり条例」と「手話言語条例」が施行され、情報保障への関心も高まると思われます。筆談など、まずは自分のできる方法で協力していきたいと思います。
(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 菅野祥子)

◎参考情報
NPO法人パソコン要約筆記文字の都仙台
 2000年に開催された第1回全国障害者スポーツ大会の情報保障ボランティア有志が02年に任意団体を設立し、10年にNPO法人化した。
ホームページ https://mojimi.sakura.ne.jp/

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