NPOで高校生の夏ボラ体験2021(上)

 認定NPO法人杜の伝言板ゆるる(仙台市)は2003年以降、高校生が夏休みにボランティアを体験する「NPOで高校生の夏ボラ体験」(実行委員会主催、かほく「108」共催)を実施してきました。高校生が地域のNPOの活動に触れ、さまざまな人との出会いを通して地域の現状や課題、解決のための取り組みを知る機会を提供しています。

 昨年度は新型コロナウイルス感染拡大により中止となりましたが、これまで参加した高校生に加え、高校や受け入れたNPOの声をまとめ、報告書を作成しました。本年度はそうした声を生かし、感染対策を取りながら実施でき、高校生76人と宮城県内のNPO16団体が参加しました。

 プログラムはNPOやボランティアについて学ぶ事前学習会、受け入れNPOと高校生との顔合わせ会からスタート。その後、各団体が企画した3日間の体験プログラムで、さまざまな地域、テーマの活動の意義や成果を学び、体験しました。

 「夏ボラ」では実際に、どんな出会いと体験が生まれたのか。活動の一こまを2回にわたり紹介します。(次回は9月13日掲載)

健康づくりをお手伝い

◎名取高3年 前野大地さん/名取高2年 長谷川紗月さん/常盤木学園高3年 粟野ひよりさん

 NPO法人「地域生活支援オレンジねっと」(仙台市泉区南光台)で、夏ボラ体験中の宮城県名取高3年の前野大地さん、同2年の長谷川紗月さん、常盤木学園高3年の粟野ひよりさんにお話を聞きました。

 買い物や掃除などの生活支援や、カフェなどの交流の場づくりをしているオレンジねっと。3人の高校生は「子どもや高齢者、障害者ら多様な世代とテーマを対象にした地域密着型の活動に興味を持った」「地域プロデュースの活動に関心がある」などの思いで、オレンジねっとでの活動を希望しました。

 3人はオレンジねっとと日頃交流のある「つるがやリフレッシュ倶楽部」(仙台市宮城野区鶴ケ谷)の集いに、飛び入り参加しました。倶楽部は地区住民らが17年前から、健康増進を目的に運営しています。3人は参加者や運営サポーターと共に、元気に体を動かしました。倶楽部の活動が始まったきっかけや鶴ケ谷の歴史的背景などの話も聞き、こうした場づくりの必要性について意見を交換しました。

 3人は地域に根を張り、住民が主役の活動を継続する秘訣(ひけつ)について、住民と共に体を動かし話を聞くことでヒントを得たようです。

高齢者らと体を動かす(手前右から)前野さん、長谷川さん、粟野さん=8月11日、仙台市宮城野区鶴ケ谷の集会所

子どもと寄り添い充実

◎常盤木学園高3年 吉田愛桜さん

 「地域で育む子育て環境の実現」を理念に掲げ、NPO法人「子育て応援団ゆうわ」が名取市増田小に隣接した場所で運営している増田児童センター。夏ボラ体験の日、乳幼児から高校生まで170人を超える児童生徒が早朝から来館しました。

 常盤木学園高3年の吉田愛桜(ねお)さん(17)は将来、社会福祉士として児童養護施設で働きたいという思いから児童センターでの活動を希望しました。「3日間の体験中、子どもたちから学ぶことばかりだった」と充実の経験だったようです。

 子どもと接するとき、意見を否定せず寄り添うことを意識し、全員が楽しく遊べるよう心掛けました。かくれんぼと鬼ごっこのどっちをするか子どもの意見が割れたとき「かくれ鬼」を提案。体験最終日。吉田さんの周りに、多くの児童が集まっていました。

 館長の久保允さん(34)は参加高校生について「小学生の頼れる存在になってくれ、大変助かっている。児童の悩みを聞くなど、年が近いからこそできることも多いはず」と話します。

 吉田さんは「これからも多くの子どもたちと接し、自分も子どもたちと一緒に成長したい」と笑顔で話していました。

児童一人一人の声に耳を傾けながら外遊びをする吉田さん=8月18日、名取市増田児童センター

食べ物の大切さを学ぶ

◎石巻好文館高3年 佐々木快斗さん

 石巻好文館高3年の佐々木快斗(かいと)さん(17)は、NPO法人「いしのまきNPOセンター」で夏ボラに参加しました。ここは、催しや助成金情報を紹介する会報誌の発行、地元新聞社と協働しての情報発信などを通し、石巻圏域のNPOなどを支援しています。

 佐々木さんは見学で、一般社団法人フードバンクいしのまきを訪問。家庭や企業から寄付された食品を必要な人々に渡す仕組みについて、代表の末永博さんから説明を受けました。

 佐々木さんは「おすそ分けという気持ちで、高校生でも困っている人への手助けができると分かった。やってみたい」と話します。

 NPOセンターの職員渥美知枝さんは「NPOが地域生活と密接に関わり、身近な存在だと知ってもらえた」とうれしそう。「地域の課題を考える機会は多いけれど、『誰がやっているか』までは意識しない。活動者の存在を広めてほしい」と期待します。

 東京五輪で弁当の廃棄問題が話題になった際、佐々木さんは「困っている人に回せばよかったのに」と、体験で学んだことを家族に話したそうです。高校生にもNPOにも実りある2日間となったようです。

フードバンクいしのまきで活動について説明を聞く佐々木さん(右)=7月26日

 夏ボラ体験の取材・執筆は認定NPO法人杜の伝言板ゆるるの大宮佳奈、吉田若葉、真壁さおりが担当しました。022(791)9323。npo@yururu.com

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