性と姓、法的に保証を 議論の機運高まるも政治の英断なく

衆院選 暮らしの現場から(6)多様性

多様性を象徴する虹色の縫いぐるみを手に、パレードした商店街に立つ小浜さん=仙台市青葉区一番町4丁目

 期待が膨らんだ分、失望は大きかった。

 6月16日に閉幕した今年の通常国会。LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案は、与野党の実務者が成立に合意したものの結局、提出が見送られた。

異性と同性に差

 「また仕切り直しか」。仙台市太白区の小浜耕治さん(58)は国会閉幕のニュースに落胆し、前進しない議論に歯がゆさを覚えた。

 市民団体「レインボー・アドボケイツ東北」の代表を務め、多様な性に関する政策提言に取り組む。「多様性と調和」を掲げる東京五輪・パラリンピック開幕を前に、立法府の「英断」を見届けるつもりだったが、見事に裏切られた。

 法案は一部文言を巡って自民党内でにわかに批判が高まり、提出自体が難しくなった。小浜さんは「多様な性の在り方を議論する機運は、これまで以上に高まっていた」と悔しがった。

 大阪府出身。高校1年の頃、同級生の男子に初恋をしたが、当時は「男性が好きと認めてはいけない」と感情を抑えつけた。東北大に進学し、仙台市に移住。片思いは同級生が女性と結婚した10年後まで続いた。

 転機は30歳を前にした1992年。周囲と合わせることに限界を感じ、自身の性的指向を受け入れた。93年にパートナーと出会い、約28年間、一緒に暮らす。

 同性カップルは婚姻関係が法的に保証されず、パートナーが亡くなった際の法定相続権、手術など医療行為への同意権がなく、異性婚に比べ不利益が多い。

 小浜さんも20年ほど前、パートナーの手術に同意できず、パートナーの姉にサインを頼んだ経験がある。「異性と同性。なぜ差があるのか」と眉をひそめる。

争点化に期待

 東日本大震災で性的少数者と周囲の希薄な関係に直面し、2015年に市民団体を設立。性的少数者のカップルを婚姻相当と認める「パートナーシップ制度」実現を市議会に陳情するなど当事者の声を発信する。

 今年7月には別の市民グループ「にじいろCANVAS」の共同代表として市中心部でパレードを実施した。多様性を象徴する虹色のTシャツ姿で、縫いぐるみと「どこにでもいるよ 隣にいるよ」のプラカードを持ち、商店街を練り歩いた。手を振り応える人もいたが「ほとんどはパレードの意味を理解していない様子だった」と小浜さん。「私たちの存在を無視せず、認めてほしい」と訴える。

 衆院選(31日投開票)では野党を中心に性的少数者への理解促進、選択的夫婦別姓導入の公約が並ぶ。小浜さんは旧姓の通称使用や事実婚を迫られた親族や友人を自身と重ね、選択的夫婦別姓にも関心を寄せる。

 「これらの問題が注目される選挙になればいい」と争点化に期待するとともに「お題目で終わらないよう『選んだ側』としても、ものを申していきたい」と早くも選挙後を見据える。
(報道部・松村真一郎)

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