河北抄(11/1):「えっ」。宮城県美術館で7日まで開催中…

 「えっ」。宮城県美術館で7日まで開催中の企画展「宮内庁三の丸尚蔵館所蔵 皇室の名品展 皇室の美-東北ゆかりの品々」で、2点の絵を前に、思わず声が出た。作者名に「高橋由一」とある。でも、彼の他の作品とは絵柄が違う。

 一つは、『楠正行(くすのきまさつら) 如意輪堂に和歌を題するの図』(1892年)。恰幅(かっぷく)のいい甲冑(かっちゅう)姿の男が、今にも堂内に入らんとする姿を描いた。ひげを蓄えた偉丈夫は、往年の東映時代劇ならば片岡千恵蔵あたりが演じそうだ。

 もう1作の『織田信長ひそかに密勅を五大老に示すの図』(93年)は、重々しく勅書を読み上げる信長に平伏する家来衆が芝居じみていておかしい。

 高橋といえば、『鮭』(77年)『宮城県庁門前図』(81年)など、精緻で端正な写実画の人だと思っていた。ところが眼前の作品は、枯淡の味わいどころかギラギラした人間臭さが充満する。

 「明治天皇に命じられ、一生懸命描いた最晩年の作品です」と担当学芸員。得意技を封じて歴史画に挑戦した巨匠による「名品」は、一見の価値ありだ。

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