比例代表の党名に「民主党」が二つ、なぜ?
今回の衆院選比例代表の党名略称で、立憲民主党と国民民主党の略称がどちらも「民主党」となっています。選管職員に票をどう処理するのか尋ねたら「両党に半分ずつ分ける」と返答されました。おかしな話です。そもそも略称を分ければいいだけではないですか?
公選法に党名重複を禁じる規定なし
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2020年9月、立憲民主党と国民民主党は、公選法に基づく衆院選比例代表の党名略称をいずれも「民主党」と届け出ました。
指摘される通り、同じ略称を使うことが混乱のもとですよね。しかし、公選法には略称の重複を禁止する規定がなく、中央選挙管理会(中央選管)は政党からの届け出を基本的に受理することになります。
中央選管によると「民主党」と書かれた票は、各市町村などの開票区ごとに両党の得票数に応じて振り分けます。これを「案分」といい「両党に半分ずつ分ける」というのは誤解です。もちろん両党の票数が全く同じであれば0・5票ずつ半分になります。
同一の略称を巡っては1992年の参院選で、日本新党と国民新党がいずれも「新党」の略称を届け出ました。2010年の参院選でも、新党日本とたちあがれ日本がどちらも「日本」の略称を使用しました。
認められなかったケースもあります。2020年12月、NHKから自国民を守る党(当時)が「自民党」で申請しましたが、中央選管は「自由民主党の略称として広く通用しており、有権者の混乱をもたらす。名称保護制度の趣旨に反する乱用的な届け出だ」として受理しませんでした。
総務省が示した比例代表の党名と略称、有効投票例
SNSで正式名称での投票呼び掛け
立憲民主党と国民民主党の間には「民主党」の略称を巡る前史があります。
2017年の衆院選前に結党した立憲民主党は当初「民主党」としました。民進党の流れを組み、2018年に結党した国民民主党は「国民党」を使っていました。
ところが、国民民主党は2019年の参院選前に「民主党」に変更。立憲民主党から「案分票狙いだ」と反発する声が上がりました。立憲民主党は有権者の混乱を避けることを優先し「りっけん」として参院選に臨みました。
その後、合流や分党を経ていずれも「民主党」と届け出た両党。今回の選挙戦では、双方が正式名称で投票するよう会員制交流サイト(SNS)などで呼び掛けました。
総務省は都道府県選管に対し、「立」「立憲」「立民」は立憲民主党、「国」「国民」は国民民主党の有効票と判断すると例示しています。
案分されたり無効票とされたりしないために、面倒でも正式な名称を正確に記入するのがいいようです。
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