(108)このところだけ日の差して冬の蝶/柳家 小三治(1939~2021年)

 立冬にフライングして冬の句を。何にでも陰・陽があるというが、「冬の蝶(ちょう)」はどちらかというと陰気な季語に分類されるようだ。もう元気もなくなってきた蝶が、ひっそりと休んでいる。それをぽっかりとあたたかく冬日が照らしている。ふと目を離したら消えていそうな儚(はかな)さ。寒々した気配の中でそっと蝶に寄り添うあたたかさが、染みる。作者の俳号は土茶。一茶の再来という意味だと本人は言っていた…そうです。東京やなぎ句会編『五・七・五 句宴四十年』より。
(浅川芳直)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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