(106)爛々と虎の眼に降る落葉/富澤 赤黄男(1902~1962年)
虎が虚空を見つめています。獲物を狙っているのかも、休息をとっているのかもしれません。眼(まなこ)には降りしきる落ち葉が映ります。爛々(らんらん)という描写で虎の鋭い眼光や、色とりどりの葉がひらめく様子も見えるようです。俳句は短いため静止画や動作の一瞬を描くことを得意としていますが、この句では一枚の…
関連リンク
- ・(105)利酒に瞳大きくなりにけり/大木 雪香(1973年~)
- ・(104)榠樝(かりん)と座す少し傾(かし)ぐは相似たる/加藤 楸邨(1905~1993年)
- ・(103)蝗来て小さき影生む義民の碑/阿部 菁女(1939年~)
- ・(102)草山のすつかり刈られ秋の風/大須賀 乙字(1881~1920年)
- ・(101)金鱗をこぼさぬ鯉の水の秋/上田 五千石(1933~1997年)
関連タグ
最新写真特集
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。