(105)利酒に瞳大きくなりにけり/大木 雪香(1973年~)

 利き酒というのは品質鑑定が目的だから酔っちゃいかんというので、ちょいと口に含んでぺっと吐き出す、というのが本当だと思うが、それにしてはぷーんと鼻をくすぐる酒の香りに目の色が変わっているようだ。全身を集中させて目の前のおちょこに向き合う。うまい酒なら何でも良いと思っている私であるが、せっかく新酒が出てくるこの季節、香り、コク、舌触りと緊張感をもって酒を飲みたいと思った所存。なお、「利酒」が季語である。句集『光の靴』より。(浅川芳直)

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

企画特集

先頭に戻る