(103)蝗来て小さき影生む義民の碑/阿部 菁女(1939年~)

 何百年と前、領主の圧政や飢饉(ききん)に農民が立ち上がり、一揆や打ちこわしを起こした歴史がありました。主導者の多くは極刑に処せられ、墓石を建てることも禁じられたそうですが、人々の生活と命のために戦った彼らを義民としてたたえ、各地に碑が建てられました。碑へ蝗(いなご)が親しげに飛んできます。生まれた影は日の光への小さな抵抗とも読めるかもしれません。細かな記録や思いが消えても、今なお私たちに語り継がれるものがあるのです。句集『素足』より。(及川真梨子)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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