(104)榠樝(かりん)と座す少し傾(かし)ぐは相似たる/加藤 楸邨(1905~1993年)

 秋はいろいろな果実が実る。その楽しみ方もさまざま。榠樝は良い香りがして美味(おい)しそうだが、硬くて渋い。せき止めに効果があると聞き私もかりん酒にして試したことがある。この句、まず作者が榠樝と対座しているようでおかしい。よく見ると少し傾いて、形もいびつである。そういえば私も同じと自嘲気味。楸邨には<榠樝うまくなるすべ知らずでこぼこと>の句も。俳句で、何でもないような事や物に味わいや面白さを見いだすことを俳味という。句集『雪起し』より。(永瀬十悟)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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