社説(11/4):人気集める古着/楽しく利用 環境にも貢献

 古着を扱う店が、仙台市内で増えている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉店したとみられる空き店舗や、商業ビル内での出店が相次いでいる。海外物を主に扱う専門店で、若者を中心に人気を集めている。

 古着の魅力は、大別して三つある。

 まずは、買った瞬間から着慣れた感じであること。デニム素材などは適度に色落ちした風合いを最初から楽しめ、着心地も優しい。

 次に、他人とかぶらないこと。生産が終了した商品は流通量がそもそも少なく、デザインや柄も古いせいか、個性的だ。生産中でも、年代やそれまでの使われ方、保管状況の違いなどから状態はさまざまで、一つ一つ異なる。

 最後に、経済性だ。「ビンテージ物」などと称され、希少価値の高い値の張る物もあるが、新品で買うよりは安く入手できる物が多い。好きなブランドなどで、安価な「掘り出し物」に出合える可能性もある。

 安さがより実感できるのは、リサイクルショップの衣類部門だ。価格帯が比較的高い商品を扱う専門店より立ち寄りやすいこともあってか、老若男女が訪れる。おしゃれな高齢者が増えた背景には、近年の流通システムも貢献しているようだ。

 持続可能な社会が求められる今、古着は環境面からも注目度を増している。

 環境省によると、家庭から手放される衣類の約7割が可燃、不燃ごみとして捨てられており、年間約50万8000トンに上る。衣類は製造、運搬過程でも、多くの二酸化炭素(CO2)を排出する。

 古着の処分法として、ジェット燃料にするといった試みも行われているが、ごみにせず、再利用する比率を高めるべきだろう。

 国内では、1年間に1度も袖を通さない服を、1人当たり25枚所有している計算になるという。コロナ下の巣ごもり生活が長期化する中で「断捨離」され、リサイクルショップなどに持ち込まれる古着も増えた。ネット通販や個人間の取引も盛んだ。古着を楽しむことは、それだけで環境負荷の軽減に貢献することになる。

 一方で、古着を楽しむ文化は、街の潤いや活性化につながる可能性がある。古本やレコードなどにも通じる、古い物を大事にする精神がそこにはある。昔からある建物や街並みを大切にするような心とも響き合う。

 東京でも、高円寺や下北沢といった古着店が多い街として知られる地域には、人を呼び寄せる吸引力がある。

 古着が多く流通し、古着を愛用する人が多い街は、モノにも、環境にも、人にも優しい街なのかもしれない。何かとぎすぎすしがちな「ウィズコロナ」時代、目指すべき魅力ある地方の一つの姿でもあるのではないか。

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