(111)外套の肩をすべりし独り言/野城 知里(2002年~)
この句には俳句らしい仕掛けがある。一つは「の」の主格の用法(連体修飾格ではない)、もう一つは動詞の連体形のあとに普通はつながらない名詞を持ってきて、動詞のあとに意味上の断絶を設ける、つまり「切れ」である。だから、肩を滑り落ちたのは外套(がいとう)であって独り言ではない。そして、外套がずれる感覚の中…
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