「止まる」宮城、偶然か必然か 横断歩道の車停止率4位に躍進

横断歩道前で一時停止する乗用車。宮城県は一時停止率が全国4位になった(写真の一部を加工しています)

 信号機がない横断歩道での車の一時停止状況調査で、宮城県が2020年の全国ワーストから一転、21年は全国4位になった。県警は「汚名返上に向けた取り組み強化が奏功した」と胸を張るが、目に見えて車が止まるようになったと感じる県民は少なく、躍進のはっきりした理由は分かっていない。(報道部・伊藤恭道、池田旭)

実感なし、首かしげる県民

 調査は8月に日本自動車連盟(JAF)が実施した。宮城県の一時停止率は51・4%で、ワーストだった20年の5・7%を大きく上回り、長野(85・2%)や静岡(63・8%)、山梨(51・9%)に次ぐ好成績だった。

 一時停止状況調査で、宮城県はずっと「劣等生」だった。全国ワーストだった20年だけでなく、19年は7・4%で全国42位、18年は3・4%で同40位と低位に甘んじた。

 なぜ、好転したのか-。県警が理由に挙げるのが、20年の苦杯を受けて強化した広報啓発活動だ。

 県警は21年から毎月10日を「十○(とまる)日」と定め、各地でチラシを配るといったPR活動を展開。トラックなどに啓発ステッカーを張ってもらい、走る広告塔として意識を浸透させる活動も行った。

 交通企画課の担当者は「十○日の活動でドライバーの意識が向上しつつあるのではないか」と分析。確かに、信号機がない横断歩道での21年の県内の事故は27件(9月末現在)で前年同期に比べ10件減っている。

 JAFもワースト返上へ県民のハートに火が付いたと推測する。宮城支部の担当者は「メディアで取り上げられ『ワーストは恥ずかしい』という思いが県民に浸透したのだろう」と分析する。

 別の見方をする県民もいる。仙台市北地区交通指導隊の高成田哲二隊長(70)は今回の成績に「実感がない」と首をかしげる。

 月5回、仙台市中心部の交差点で登下校の小中学生を見守っているが「昨年と比べ停止する車が増えたという印象はない」と高成田さん。「子どもが横断歩道を渡ろうとしても通過する車を見掛ける」と語る。

 宮城県の一時停止率上昇は「たまたま」なのか、それとも「必然」なのかは定かではないが、全国1位の長野県は安全意識向上に向けた不断の努力を続ける。

 同県警によると、子どもも大人も手を挙げて横断するよう呼び掛ける運動を数年前から展開。同県では子どもが横断後に頭を下げて謝意を伝える習慣もあり「車が気持ち良く一時停止する環境が高い停止率を支えている」と県警交通企画課の田中務理事官は言う。

 宮城県警交通企画課の北野原聡交通事故総合分析室長は「4位は喜ばしいが、半数近くの車が一時停止していない事実を重く受け止めなければならない。先行する自治体の取り組みを参考にしながら、100%を目指す」と話す。

[車の一時停止状況調査]日本自動車連盟(JAF)が2016年から毎年実施する。各都道府県2カ所ずつの信号機が設置されていない横断歩道をJAF職員が1カ所につき50回横断し、車が一時停止する割合を調べる。21年は8月11~30日に調査した。調査場所は非公表。

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