あおり運転 トラブルを防ぐには 基本動作を徹底、隙を見せない

常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件の実況見分=2019年8月、茨城県守谷市(ナンバープレートを加工しています)

 昨年6月に施行された改正道交法で、あおり運転厳罰化が盛り込まれた。ささいなトラブルの芽は日常の道路にあふれている。この春からハンドルを握り始めた新社会人や運転機会の少ない女性ドライバーが、いざこざを避けるための運転の心得とは。(生活文化部・浅井哲朗)

 チューリッヒ保険が昨年、一般ドライバー2230人から回答を得た調査で、あおり運転をされた経験が「ある」と答えた割合は、実に70・4%に上った。

 中でも後方から車間距離を詰められる被害は、8割近く経験。幅寄せやハイビームなども目立った。いずれも改正道交法が禁じる行為だ。

 あおられた原因として思い当たる行動を尋ねると、「車線変更」を筆頭に、「追い越し車線を走り続けた」などが挙げられた。あおり行為は言語道断だが、道路を漫然と走るだけではトラブルを防げない実態を映し出した。

 「経験の浅いドライバーや高齢者らが操作に気を取られ、周りの車の動きをよく見ないで運転を続けるうちに、危険なドライバーに出合う可能性は増す」。日本交通心理学会長で帝塚山大の蓮花一己学長(交通心理学)はこう指摘する。

 「あおる人には違反が多いタイプのほかに、車という武器を使って誰かを懲らしめてやるという間違った正義感タイプもいる。『自分が正しい』と思い込み、罪悪感が薄い」(蓮花学長)

 こうしたドライバーに隙を見せないためにも、車間距離を取る、方向指示器で合図をきちんと送る、目視する-などの基本を徹底し、「誤解を与えない」「次の行動をはっきり示す」ことが大切になるという。

 普段、限られた生活圏でのみ運転している人が幹線道に出た場合も、車線変更を敬遠して追い越し車線を走り続ける、合図を忘れる-などの傾向があるため、蓮花学長は「周りをよく見てほしい」と注意を促す。

 日本自動車連盟(JAF)が昨年、信号機のない横断歩道で車がどの程度、一時停止するか調査したところ、宮城県は全国ワースト(5・7%)を記録し、全国平均(21・3%)を大きく下回った。道交法は一時停止を義務付けているが、「車優先」「自分が先」といったドライバーの規範意識の低さをうかがわせる結果となった。

 JAF宮城支部(仙台市)広報担当の佐藤陽さんは「ハンドルを握る一人一人の思いやりが安全につながる。同乗者に聞くなどして、自分の運転を絶えず見直してほしい」と呼び掛ける。

相手の行為、善意として受け止める習慣を

 合図もなく割り込まれ、腹が立って抜き返してやった-。交通心理学的には、イライラや欲求不満を抱えて運転している時、顔の見えない他者の行為が引き金となって怒りが爆発し、あおり運転が引き起こされるという。こみ上げてくる怒りにどう対処すればいいだろうか。

 JAF宮城支部広報担当の佐藤陽さんは「何より、時間と経路に余裕を持った運転計画を立てて」と強調する。

 「相手の行為を善意に解釈する習慣を身に付けてほしい」と求めるのは、花壇自動車学校(仙台市)の小野寺賢一校長。クラクションを鳴らされても「事故を防ぐ合図と捉える」などだ。

 それでも怒りを覚えたら、深呼吸し、相手の車から離れることを勧める。「自分の運転適性を理解した上で、感情を落ち着かせ気持ちを切り替えることも大事な技術。訓練で向上できる」と話す。

 日本アンガーマネジメント協会(東京)は、米国でも「ロードレイジ(怒りを抱えた運転)」が長年大きな社会問題となっていることなどを踏まえ、あおり運転撲滅プロジェクトを展開。「相手に反応せず、理性を取り戻すまで6秒待つ」ことなどを訴える。

 「米国では問題を抱える運転手に対して、裁判所がアンガーマネジメント受講を命じることもある」と安藤俊介代表。「厳罰化が進んだが、日本では『命に関わる犯罪』という意識がまだまだ低い。地道な啓発、教育が求められる」と指摘する。

[メモ]改正道交法は、あおり運転として車間距離不保持や不要な急ブレーキなど10行為を規制。警察は被害に遭った場合、サービスエリアなどで停車し、ドアロックして通報するよう呼び掛ける。客観的証拠を残すにはドライブレコーダーが有効とされる。

河北新報のメルマガ登録はこちら
+W 共に生きる

 「+W」のWには「We」「With」「Woman」「Work」「Worth」などの意味を込めています。暮らし、仕事、ジェンダーなど幅広い話題を取り上げ、多様な価値観が尊重される共生社会の実現を目指します。

秋季高校野球東北大会 勝ち上がり▶


企画特集

先頭に戻る