跡地や放棄地をソバ畑に再生 一関の寺院、宮城・美里で試行

ソバの実を手摘みする知勝院の関係者

 岩手県一関市の寺院「知勝院」が、宮城県美里町南郷に所有する研修所の敷地でソバ栽培を始めた。町出身で前住職の千坂嵃峰(げんぽう)さん(76)らは、人口減が進む地域で空き家跡地や耕作放棄地を有効活用し、地域づくりに生かすモデルを提示しようと意気込む。

 国内初の樹木葬を始めたことで知られる知勝院は約20年前から、耕作放棄地や放棄林が増えた一関市の久保川流域で自然環境の再生に取り組む。長年放置されていた美里町の研修所敷地を活用しようと昨年、30アールのソバ畑を作った。

 ソバは栽培の労力が比較的軽くて済み、収穫までの時間も短い。シカなどの食害が少ない町内は生育に適しており、昨年は200キロのソバの実が採れたという。今月上旬の収穫作業を見守った近所の会社経営大友正さん(74)は「活動が広まれば、やってみたいと思う住民は多いはず」と期待する。

 産地化に向け、栽培規模や販路の確保といった課題はある。町では小麦や大豆の生産が中心で、ソバはほとんど栽培されておらず、町産業振興課の担当者は「出荷は農協を通すことになるだろうが、ソバはなじみがない」と説明する。

 町内に空き家は185軒あるが、跡地の農地転用は前例がない。耕作放棄地は農地の0.03%(1.87ヘクタール)にとどまる。ただ東北では放棄地の面積が拡大している県もあり、鹿角市などソバの作付けが進められている地域もある。

 知勝院は来年も同規模のソバ作りを継続する予定だ。千坂さんは「地域の環境を生かし、放棄地を再生する模範になれるよう活動したい」と話す。

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