「うつ」の効用 泉谷 閑示 著
仕事に行けない、薬が手放せない、やがては突発的に自分の命をあやめようとしてしまう-。「うつ病」と聞くとそんな暗い印象を抱きがちだが、それが実は幸せへの大事な回り道だとしたらどうだろう。うつ病、うつ状態を「生まれ直し」の契機と捉える横手市出身の精神科医が、なぜこの病気がこうも現代人を悩ませるのかを解説し、患者と家族に処方箋を示した。2010年出版の著書に増補した。
「頭」「心」「身体」をキーワードとする説明が明快だ。人間の進化で最も発達した頭脳。目線を絶えず将来に向けて「~すべきだ」というスタンスで心と身体を支配しようとする。これに対し、密接に結びつく心と身体は今この時の「~したい」が最優先。今を犠牲にせよと圧力をかける頭に対し、疲れ果てた心と身体が起こしたストライキが、うつ病なのだという。
この「頭による支配」から、心と身体をいかに解放するかが治療の本質。自らを徹底的に休めた後に訪れる自然な好奇心の発動が「内面の大変革」を伴った生まれ直しにつながると著者は指摘する。うつを「真に自分らしい生き方に抜け出るために、自分自身から届けられた貴重なメッセージ」と表現する。
うつ病の病態と酷似しているとして著者が危惧するのが、現代の「ゾンビ人間化」だ。親の「努力は必ず報われる」という価値観に染まった若者がどうなったか。やりたいこと、なりたいものよりも将来の「安定」のために青春時代を費やした結果、社会に出た時、目標が何かも分からず絶望するのは無理もないと同情する。
医療的アプローチはもちろん、哲学や教育論といった視点からの啓発も兼ねる本書。今の社会を築いた規範や道徳、職業倫理は確かに大事だ。だが、そうしたものを守ろうとするあまり、人間そのものが軽視されることがあってはならないと、強く警告している。(浅)
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