憧れのタクシー運転手になったYou 秋田のウクライナ人女性サンガルさん

 ウクライナ人のサンガル・ナターリアさん(44)が秋田市のタクシー会社「あきた県都交通」で9月下旬からハンドルを握っている。外国籍の女性がタクシー運転手になるのは秋田県で初めてといい、各県のタクシー協会などによるとアジア出身者以外は東北でも珍しい。「不安よりも楽しさが大きい」。持ち前の明るさとチャレンジ精神で地域に愛される運転手を目指す。

乗務するタクシー車内で笑顔を見せるサンガルさん

 運転席で笑顔で乗客を迎える。「どちらまで」。流ちょうな日本語で、丁寧なコミュニケーションを心掛ける。乗客の年代によって声の大きさや話題を変えるなど工夫も欠かさない。

 サンガルさんは約15年前に秋田に移住し、スーパーや飲食店で働いた。今年2月に転倒して足首を骨折し、タクシーなどで通院した。治療を終えて介護の仕事に復帰したが痛みが消えなかった。

 転職を考えていた時、タクシーの女性運転手が目に入った。「運転手になりたい」。もともと県内外でのドライブを楽しんでいたというサンガルさん。丁寧なサービスが印象に残っていた県都交通を選んだ。

 「社長かマネジャーはいますか」と同社を7月に訪問。8月に入社し、タクシー業務に必要な普通2種免許を取得するため自動車学校に通った。国などの乗務員講習を受講し、会社の先輩に同乗してもらって接客や運転技術を学んだ。

指名してくれるお得意さんも

 会社を訪れたサンガルさんに応対したのは照井由輝(よしてる)社長(70)だった。「配車予約かと思ったが入社希望で驚いた。事務職ではなく『運転手をやりたい』と言われて2度驚いた」と振り返る。

 ドライバーも務める照井社長は、サンガルさんを客として乗せたことがあった。明るい性格は知っていたが不安もあった。30人近くいるドライバーのうち女性はゼロ。「やっていけるか」「秋田弁を理解できるだろうか」。それでも照井社長は人柄と意欲を買った。

 「初めてお客さんを乗せた時は楽しかったし、うれしかった」とサンガルさん。指名してくれるお得意さんもつかんだ。憧れの職業に就き、充実した日々を過ごしている。

 照井社長は「見掛けたら手を振ってもらえるような運転手になってほしい。観光案内もできるようになれば活躍の幅が広がるのではないか」と期待する。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る