星空観察やヨガ体験、郷土料理いかが 被災地・双葉でモニターツアー

 東京電力福島第1原発事故で住民避難が続く福島県双葉町で、地元団体が若い旅行者を対象にしたモニターツアーに取り組んでいる。若者が楽しめるようヨガ体験や星空観察などの企画を取り入れた。原発被災地に気軽に足を運んでもらい、交流人口や関係人口の増加につなげる。

芝生の上でヨガを楽しむモニターツアーの参加者=20日、福島県双葉町

 双葉町中野地区にある県の東日本大震災・原子力災害伝承館の前に広がる芝生の上に20日午後、約20人の若者が色とりどりのヨガマットを広げた。講師はインドからの留学生。約1時間、本場仕込みのヨガを楽しんだ。

 ヨガは、1泊2日のモニターツアー「パレットキャンプ」の一環で行われた。地元の一般社団法人双葉郡地域観光研究協会が企画し、宮城、福島両県のほか千葉県、東京都などの高校生や社会人計16人が参加した。

 一行はヨガの前に同県富岡町にある震災の伝承施設を見学。夜は野外で双葉町出身の料理研究家が作った家庭料理を味わい、星空を観察した。翌朝は避難指示が10年以上続くJR双葉駅周辺を散策し、原発被災地の今を目の当たりにした。

 参加した千葉県船橋市の大学4年中島梨恵さん(21)は「ヨガや星空観察が楽しそうだったので参加した。福島の現状はあまり知らなかったが、自分の目で見ることができて良かった」と話した。

 ツアーは山形市出身の東北大工学部3年小林雅幸さん(21)が発案した。6月から研究協会でインターンとして働いている。町の地域資源を生かしつつ、若者に興味を持ってもらえる企画を考えた。

 「地域を楽しんだ上で愛着を持ってもらう。その入り口は震災や原発事故だけではないと思った」と小林さん。参加者にはオンラインのコミュニティーに加わってもらい、情報交換や提案などを通して関心を持ち続けてもらえる仕組みにした。初めてのツアーを10月下旬に行っており、今後も随時実施するという。

 来年6月以降の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を目指す双葉町。帰還する住民の規模は見通せず、今後の地域づくりは交流人口や関係人口の広がりが大きな鍵を握る。

 研究協会代表の山根辰洋さん(36)は「観光振興が、避難でばらばらになった住民のコミュニティー維持にもつながればと考えている」と狙いを語る。「内側の人間が動かないと観光産業は定着しない」として、地元住民に主体的に関わってもらう方策を模索する。

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