殻付き活ガキ、香港とシンガポールに初出荷 塩釜・野々島で養殖

初出荷される殻付きの活ガキ

 宮城県塩釜市の浦戸諸島・野々島で海外市場向けに養殖された殻付きの活ガキが26日、香港とシンガポールに向けて初出荷された。県漁協浦戸支所の漁業者と水産加工・販売のヤマナカ(石巻市)が輸出に適した「潮間帯養殖法」で育てた。両者は新たなカキ養殖モデルを県内で普及させ、稼げる水産業の実現を目指す。

 この日出荷されたカキは計約40キロ。1個の重さは50グラム程度と県内で流通するカキに比べて小さいが、海外では小ぶりで殻の形が整った殻付き活ガキが人気で、取引価格が高いという。

 出発式は塩釜市のマリンゲート塩釜の船乗り場であり、野々島のカキ漁師鈴木宏明さん(74)は「浦戸では高齢化や担い手不足が深刻化している。新養殖法を学びつつ若手にも教えていきたい」と意気込んだ。

 潮間帯養殖法は欧米の干潟などで用いられる方式。専用バスケットに入れたカキが干潮時に空気にさらされる仕組みで、生命力が強く、水揚げ後も冷蔵で1カ月程度生存するという。

 県内ではいかだなどからつり下げる垂下式養殖によるむき身での出荷が主流。水揚げ後の生存期間は数日で、活ガキでの輸出は難しかった。新養殖法はヤマナカ側が持ちかけ、昨年12月に野々島近くの浅瀬で稚貝約2万個の養殖を始めた。

 ヤマナカの高田慎司社長は「国内に加えて海外市場を開拓すれば漁業者の所得水準も上がり、漁業に興味を持つ若者にも発信することができる」と期待した。

 殻付きの活ガキは来週、ロシアへの出荷も始まる。来年の出荷に向けて自然採苗した稚貝の養殖にも着手しており、24年度の輸出量目標は100トンを掲げる。

出発式で初出荷する殻付きの活ガキを持つ高田社長(左)、鈴木さん(中央)と佐藤光樹塩釜市長

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