玄米食専用米「金のいぶき」高まる人気 栽培法確立し収量向上

栽培開始から5年目を迎え、栽培法が確立した「金のいぶき」=9月、涌谷町
涌谷町独自の「金のいぶき」パッケージ(町提供)

 宮城県涌谷町がブランド化を進める玄米食専用米「金のいぶき」が輝き始めた。5年近くかけた栽培技術確立の努力が実って収量が向上し、注目度も急上昇。今年は県内産主食用米の概算金が下落する中、唯一買い取り価格が上がった。ブランドの浸透に向け、着実な生産拡大が次の課題だ。(小牛田支局・横山浩之)

買い取り額が15%上昇

 涌谷町を管内とする新みやぎ農協のコメ3品種の直近5年間の概算金、買い取り価格は表の通り。金のいぶきは農協が農家から1回で買い取る方式となっており、金額はこの5年で15・4%上がった。消費者の健康志向に加え、新型コロナウイルス下で中食需要が高まり、希少価値が価格を押し上げたとみられる。

 今年5ヘクタールを作付けした農業生産法人「富士物産」(涌谷町)の及川秀雄社長(52)は「農家として作りがいがある。来年はもっと増やしたい」と笑顔で話す。

 町内では今年、20戸が県内で3番目に当たる約39ヘクタールに作付けした。人気の高さを受け、新規参入を望む農家はさらに10戸以上あるが、買い取り価格の上昇に伴い、23年度目標とした作付面積100ヘクタール分の種もみを確保できるか見通せないという。

 炊き上がったご飯が金色に見えることで知られる金のいぶき。国内初の産金地の町は17年度、「金」を冠する名前に注目。地域ブランド化に乗り出したが、当初の生産量は伸び悩んだ。

ブランド化へ供給拡大課題  

 金のいぶきは根が短くて倒伏しやすく、いもち病にも弱い。町は県や農協と共に、涌谷の環境に合った栽培法を模索してきた。

 転機は19年に訪れた。ケイ酸質肥料による土壌改良が奏功。倒伏が抑えられ、10アール当たり約450キロと収量が改善した。成果をマニュアルにまとめ、肥料や農薬の指導に役立てている。

 町は並行して「涌谷町産」のブランド浸透にも注力。玄米の流通環境を整え、高い品質を確保し、独自デザインのパッケージ(3合入り480円)も開発した。ふるさと納税の返礼品にもなっている。

 ブランド米の産地間競争は激化しているが、金のいぶきは全国唯一の玄米食専用米で他品種と競合しない。町外産も含めた金のいぶきがコンビニ大手のおにぎりに採用されるなど、需要も高い。

 町農林振興課の藤崎幸治主任主査は「仙台圏や県北のスーパーなどで販売しているが、供給量がまだ十分ではない」と語る。今後、町の地場産品として定着させるには生産拡大が必要だ。

 町は金のいぶきを「現代の金」と位置付け、将来の作付面積300ヘクタールを目標に掲げる。輝く地域ブランドに育てるには着実な供給量の拡大が求められている。

[金のいぶき]県古川農業試験場(大崎市)が品種登録し、2016年3月、県の奨励品種に指定された。胚芽が通常の玄米の3倍あり、よく吸水するため白米と同様に炊ける。ビタミンEなどの栄養価が高く甘みがあり、全国初の玄米食用品種として期待される。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る