新型コロナウイルス禍でドメスティックバイオレンス(DV)やモラルハラスメント(精神的暴力)が増えた背景には、「おうち時間」の増加に伴うストレスがある。パートナーと抜き差しならない状況に陥るのを防ぐ、ちょっとした気遣いのコミュニケーション術とは。
(生活文化部・浅井哲朗)
一般社団法人「異性間コミュニケーション協会」(塩釜市)は、男女間のあらゆる悩みやトラブルに関する相談を受け付け、全国にいる認定講師が助言を行う。2021年、協会には昨年1年間の70件を優に超す約100件の相談が寄せられている。
相談者はほぼ女性だ。長年、婚活ビジネスを続けてきた代表の佐藤律子さん(49)によると「どうしたら悪化した夫婦関係を改善させられるかと、前向きに悩む人が多い」。リモートワークが増えた夫と、子どものしつけを巡ってすれ違うケースが目立つという。
険悪なムードを回避しながらも我慢しすぎないこつとして、佐藤さんは女性たちに二つ、アドバイスする。
一つ目は「あなたの○○が駄目だ」と、相手の気になる点をあからさまに指摘するのではなく、「私は○○が嫌だ」と「私」を主語にすることだ。
「『あなたは』と攻撃的な言い方をすると、男性も反撃したくなる。しかし、『私はこう思っている』と正直な気持ちを伝えれば、意見として冷静に処理できる」と話す。
二つ目は、夫に決定権を持たせること。子どもの塾選びやある程度大きな買い物をする際、形だけでも最終的な決断を任せて、夫の家庭内での立場や自尊心を認めてあげるのだ。
「面と向かうと、夫に優しくできない」という声も多いが、佐藤さんは「最初は心を込めなくてもいい」ときっぱり。「演技をするように接し、相手の良い変化を観察していけば、徐々に言いやすくなる」と助言する。
家父長制的な環境で育った団塊ジュニア世代の男性は特に、人に弱みを見せられないという価値観が根強い。「このコロナ禍では、今までかっこいいとされてきた男らしさが、強がりや命令調のゆがんだ形で出てきている。気負わず、弱みをさらけ出せる関係を目指すべきだ」と佐藤さんは指摘する。
女性の経済的自立が当たり前になった現在。失職や減給の危機にさらされた夫がストレスを抱え、共働きの妻と衝突するのも、コロナ禍で生じたトラブルの特徴の一つとされる。
異性間コミュニケーション協会認定講師で、仙台市の自宅で訪問・一時保育所「こころ」を運営する看護師の伊藤奈津子さん(43)は、長男(5)の出産直後、夫との関係が危機を迎えた。
当時、夫は再就職したばかり。仕事の疲れもあり、家事、育児に自分が期待したような助けを得られなかった。会話もなく、不信感を募らせた伊藤さんは「自分の稼ぎだけでも育てていける」と、本気で離婚まで思い詰めた。
しかし、考えた末、とどまった。言葉だと感情的になると思い、心身のつらさ、手伝ってほしいことやその時間帯、夫の収入に対する率直な心配などを、2度にわたり手紙にしたためた。
夫は対応を改善してくれた。自分も、夫から給料を受け取った時に「ご苦労さま」「ありがとう」が言えていなかったことを、素直に反省できた。
「『察してほしい』だけじゃなく、不安な気持ちをしっかり伝えられたことで、行き詰まった状況を脱することができた」と伊藤さん。今は「相手のしてほしいことを相手の立場で考え、行動に移す」ことを心掛け、家族3人で笑いの絶えない毎日を過ごしているという。
パートナーとの関係がこじれ、モラハラやDVの被害を受けたら、行政の窓口や支援団体に速やかに相談したい。
夫や彼氏からのDVに悩む女性を対象に、1999年に電話相談を始めたNPO法人ハーティ仙台(仙台市)。2020年度の相談件数は846件と、コロナ禍が本格化する前の19年度に比べて、100件近く増えた。
だが、プライベートな問題を相談することに罪悪感を覚える人は少なくないという。「埋もれているケースはまだまだあるだろう」と代表理事の八幡悦子さん。「一方的に自分の言うことを聞かせようと、言葉や暴力で相手を支配するのはDVであり、虐待に当たる」と、恐怖を感じたら相談するよう呼び掛ける。
【主な電話相談先】
●ハーティ仙台(女性専用)022(274)1885
月~金曜午後1時半~午後4時半、第1~4火曜午後6時半~午後9時(祝日、年末年始、お盆の時期を除く)
●宮城県の「みやぎ夜間・休日DVほっとライン」022(725)3660
木、土曜午後5時半~午後9時、日曜午後1時~午後5時(祝日、年末年始を除く)
●内閣府の24時間対応「DV相談+(プラス)」(0120)279889 「DV相談ナビ」♯8008
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