いらない家具、欲しい人に譲ってSDGs ごみ減らし環境に優しく

 いらなくなった家具や家電を捨てるのではなく、欲しい人に譲って有効活用してもらおう-。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つ、「つくる責任 つかう責任」に合致する取り組みが、東北の自治体でも行われています。ごみを減らして環境に優しい社会をつくるため、あなたも参加してみませんか。
(生活文化部・桜田賢一)

ソファの布地を剥がして清掃する工房スタッフ。修繕もお手の物だ=葛岡リサイクルプラザ

まるで専門店

 学習机にたんす、ソファセット…。仙台市青葉区の清掃工場に隣接する葛岡リサイクルプラザには、専門店を訪れたかと錯覚するほど大量の家具が展示されている。月1回の抽選を経て、引き取りを希望した市民に無償譲渡される。

 新品のようにきれいな物がほとんど。全て市民が持ち込んだ不用品だ。「年を取ったので身の回りの処分を進めているが、まだ使える。粗大ごみとして捨てるのは忍びない」「都心へ引っ越すことになり、大きな家具を持って行けない」。さまざまな理由から年間1600点前後が持ち込まれ、必要とする市民の手に渡っている。

平均倍率12倍

 市がこうしたリユース(再利用)を促す事業を始めたのは1995年。廃棄物への関心を高めてもらうのが狙いで、6年後には若林区にも今泉リサイクルプラザを開設し、2館体制で取り組んできた。来館者数は2020年度末で計233万4143になった。

 このうち葛岡のプラザは10月16日、200万を突破した。無料とあって抽選倍率が高い品物も多く、10年間の平均は12倍に上っている。

 人気の秘密はプラザ内の「リサイクル工房」にある。もともと不用品なのでほこりだらけだったり劣化していたりする物も多いが、市の委託を受けたシルバー人材センターのスタッフが清掃や補修を担当。中には家具店の従業員だった人もいて、長年培った技術を駆使して再生している。持ち込まれたものの需要がなかった品物の布や綿をストックしておき、いすの座面を作り直したり、ソファの中綿まで洗ったりして展示品の水準を高めている。

本・衣類も提供

 両プラザは家具や電化製品だけでなく、本や衣類も無償で提供している。持ち込れまる点数が多いことから抽選はせず、一人3点まで持ち帰っていい仕組みだ。家具や電化製品を含め、譲り受けた市民には寄付を募っている。

 葛岡リサイクルプラザの大沼義典館長は「プラザを利用すること自体がSDGsへの参加になる。これからもたくさんの市民に利用してほしい」と話す。

 同様の取り組みは、福島市や八戸地域広域市町村圏事務組合(新型コロナウイルス禍の影響で休止中)などでも実施されている。住民が持ち込んだ不用品のほか、収集した粗大ごみや自転車も再生しており、無償譲渡か格安で販売している。

 いずれの施設も、持ち込み、抽選申し込みができるのは、住民に限定している。

抽選で当たったテーブルセットとテレビボード、食器棚=宮城県川崎町の古民家

記者が申し込み体験

 新品と見まがうほど立派な家具が、本当にただで手に入るのだろうか。記者も仙台市民の一人。同市の抽選に参加したところ、半年ほどで4回も当選した。気軽にSDGsを実践できる上、部屋の中が豪華になって得をした気分になった。

 応募は簡単だ。まず、二つのリサイクルプラザを訪れて展示品を物色。応募用紙に欲しい品物と連絡先を記入し、毎月末の抽選日を待つ。当選した場合は数日後に自宅へ通知書が郵送されるので、書面を持参しプラザに行けば当選品を持ち帰ることができる。品物はどれだけ大きくて豪華でも無料だが、運搬は自力でしなければならない。

 一連の流れを経て記者が譲り受けたのは、ダイニングテーブルセットとテレビボード、パソコンラック、食器棚の4点。一部に染みが残る物もあったが総じてきれいで、メーカーサイトによるとテーブルセットは約15万円する品物だった。ゆがみがあったり、脚部の角が欠けたりしているようなこともなく、使い勝手は快適だった。

 抽選に応募したのは今回、市に取材を始める前の4~10月(コロナ禍による休止期間を含む)。入手した家具は、記者が宮城県川崎町で再生に取り組んだ古民家などで利用している。

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