仙台市内でここ数年、古本店の話題をよく耳にするようになりました。業界が協調して企画するイベントが増え、存在感をより高めています。出版不況といわれ、7月にはジュンク堂書店が撤退するなど寂しいニュースが伝わる中でも、古本店はあまり減ってはいない様子。読書の秋たけなわ。意外に身近な古本の世界をのぞいてみませんか。
(生活文化部・阿曽恵)
煮しめたような茶色をした戦前の文芸書。100円均一の文庫と新書。学術書に漫画、郷土誌、図録、古地図、すごろく、切符。80台のワゴンと棚に、多種多様な商品がびっしりと載せられている。
青葉区のイービーンズ9階で年3回恒例の古本まつりが開かれている。初日の22日は開店と同時に客が詰め掛け、大きな紙袋で次々と購入品を持ち帰っていた。
宮城3店と福島2店、青森・岩手・山形各1店の東北勢のほか、関東から12店が参加。運営を担うジェイルハウスブック(若林区)の川村光貴さん(54)は「最多だった前回から1店減りましたが、商品数は増えています」と言う。雑貨も含め、バラエティーに富んだ商品構成になっている。「マンネリ化しないよう、毎回いろんな業者に声掛けしています」
古本の展示即売会は、昭和の時代には複数のデパートの定番催事だったが、今ではイービーンズのみに。2011年の東日本大震災後に中断、16年に復活し、回を重ねるごとに規模が拡大している。
イービーンズでは昨年8月から1年間、東北の6店による共同店舗「仙台古本倶楽部(くらぶ)」も開設され「古本と会える場所」として認知されるようになってきた。
公安委員会の古物商許可を持つ古本業者は、店で売るだけでなく買い取りもでき、引っ越しや「終活」、遺品の整理で頼りにされる。出版社「荒蝦夷(あらえみし)」が営む「古本あらえみし」(宮城野区)は10月のある日、泉区の民家を訪れた。
数千冊の蔵書を抱える元会社員男性(78)からの出張買い取りの依頼だった。この日は「永井荷風全集」全29巻をはじめ計約200冊、段ボール5箱分を運び出した。本にまつわる思い出談義の後、査定価格を示し、納得してもらうとその場で現金で支払う。
男性は「作家の埴谷雄高が生前言っていた『精神のリレー』とまではいきませんが、店に託せば次の世代にバトンが渡る。まだ未練があるので、だんだんと処分していきます」と語る。あらえみしスタッフの秋山仁さん(38)は「新刊書店に並ぶ本は数年で絶版になってしまう。誇りを持って大切な資料を預かり、必要とする人へとつなぎます」。
かつて東北を代表する古書街だった青葉区の東北大片平キャンパス北門周辺。今では明治創業の昭文堂書店1軒しか残ってない。だがこの十数年、宮城県古書籍商組合の加盟店は約20ほどを維持している。新刊書店でつくる県書店商業組合の加盟店が1986年の365をピークに、10年前は125、現在は99まで減り続けるのとは対照的だ。
古書組合理事長を務める獅子王堂(宮城野区)の高橋三雄さん(53)は「高齢で店を畳む人がいる一方で、私のように実店舗を持たずにインターネット通販に特化する新規参入があるからです。車で移動販売する店も出ています」と説明する。
ネットを足場としながらも、同業者と直接顔を合わせる機会は多い。各店が本を持ち寄って入札と競りをする組合主催の交換会が定期的に開かれるためだ。高橋さんは「実物を見ながら初心者には難しい値付けのノウハウを学べます。少しでも仲間を増やし全体の底上げを図りたい」と話す。
組合事業部は今年春に市中心部の老舗新刊書店、金港堂本店(青葉区)の2階で県内10店による「サンモール古本市」を初めて実施した。異色の取り合わせが本好き市民の評判を呼び、好調な売り上げを記録した。
イチョウ並木が色づく青葉区本町、愛宕上杉通沿いのビル1階に11月26日、新しい古本店がオープンする。いわき市に本拠を置く阿武隈書房の仙台店。大きな窓が取られた約160平方メートルの広い空間に、宮城県産材を使った書棚が配置され、開店準備が着々と進んでいる。
代表の有賀史人さん(44)は名取市出身。小学生の時から宮城の古本店に親しみ、開業前は世界最大の古書街、東京・神田神保町で市場の運営にも携わった。フットワーク軽く全国の市場で仕入れし、以前からイービーンズの古本まつりや仙台古本倶楽部にも参加するおなじみの顔だ。
「まだまだ本が足りないので、蔵書整理を考えている方がいればどこへでも伺います。古本の相場は年々変わるので、気軽に店をのぞいてください」とアピールする。
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