なぜ環境保全米をつくるのか 谷川 彩月 著
環境保全米は農薬や化学肥料に頼らないコメ。河北新報社が30年前に展開した「考えよう農薬・減らそう農薬」キャンペーンをきっかけに提唱され、宮城県内を中心に栽培を広げる運動が始まった。今年の作付面積は県内で約1万8000ヘクタール。主食用米の約3割を占めるまでになっている。
人間環境大(愛知県)助教の著者は、環境社会学、農村社会学が専門の若手研究者。農協ぐるみ、地域ぐるみで環境保全米に取り組む登米市内で、生産者へのインタビューやアンケートを重ね、登米で栽培が広がり、続いている背景を探った。
導き出したのは「ゆるさ」というキーワードだ。環境に配慮した農業は、農薬や化学肥料を一切使わない有機栽培が代表的。ところが、国内での取り組みはわずかにとどまる。もちろん、有機栽培の環境保全米もあるが、みやぎ登米農協は農薬と化学肥料を通常の半分に抑える栽培方法を入り口とした。病害虫の発生状況などによっては通常の栽培に戻す「柔軟性」も持たせた。
肩肘張らずに環境に優しい農業を実践する様子は「自分の体にいいものをつくった方がいいんでは」などの生産者の言葉からもうかがえる。リーダー的な生産者も「地域全体が環境に目覚めるきっかけになれば」と期待を込めて共に歩んできた。その結果、環境保全米作りは「もう生活の一部」と語られるほどしっかり根付いた。
著者は「ある種の寛容さや<ゆるさ>が環境配慮型農法の普及や継続を促す」と指摘。そのゆるさに「持続可能性に関わる問題に『普通』の人々が少しずつでも参与できる可能性」を見いだしている。地球規模で語られる環境問題にどう向き合えばいいか。普通に暮らしながら田んぼを耕す登米の農家の人々の姿は参考になる。(賢)
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