(144)仮の世の修羅書きすすむ霜夜かな/瀬戸内 寂聴(1922~2021年)
登場人物にときに移入し、ときに距離を置きながら、凍(い)てつく夜に筆を進める作家の姿が思い浮かぶ。ぴきぴきと霜が育つ寒さが、色の道のなかにある厳しさと共鳴する。作者の小説の恋愛はまさに修羅の道。『源氏物語』の源氏の恋愛も修羅の道であった。「仮の世」は普通はあの世に対する現世を意味するが、寂聴という…
関連リンク
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