わずか12席のミニシアター、映画文化つなぐ 古民家を改修、秋田中心部に開業

秋田市中心部にオープンしたミニシアター

 国際教養大(秋田市)の卒業生らが設立した映像制作会社「アウトクロップ」が秋田市中心部の古民家を改修し、ミニシアターをオープンさせた。市内にはかつて映画館街「有楽町」があったが、シネマコンプレックス(複合型映画館)の台頭で姿を消した。栗原エミル代表(24)は「新しい形で映画文化をつなげていきたい」と意気込む。

建物は築120年

 ミニシアターは木造2階の古民家の1階部分で、閉館した東京の映画館から買い取った12席を設置し、プロジェクターで作品を上映する。2階は事務所として使っている。

 建物は築約120年の元化粧品販売店で、10年以上空き家になっていたのを今年7月に取得し改修した。知人から紹介され、立地の良さや雰囲気が気に入ったという。

 これまでオープンから4日間営業し、大学在学中に仲間と自主制作したドキュメンタリー映画「沼山からの贈りもの」(27分)を上映した。栽培が途絶えた横手市の伝統野菜「沼山大根」を復活させた農家を取材した作品だ。

 計80人ほどが訪れ、栗原代表は「『昔のように街中にシアターができてうれしい』とお客さんから言ってもらい、励みになった」と語る。

ミニシアターで笑顔を見せる栗原さん

ここからにぎわいを

 大学4年の2020年4月に起業、同12月に法人化した。社名のアウトクロップは鉱石や原石を掘り起こす地質学用語で、地域の魅力や価値を見つけ出し、映像で多くの人に届けるという思いを込めた。

 卒業を控えた今年1~3月、秋田県内外で「沼山からの贈りもの」の上映会を実施。主題歌を担当した歌手のコンサートや沼山大根を使った料理の提供など工夫を凝らした。観客が楽しむ姿に「映画館でしかできない体験があるのではないか」とミニシアターを思い付いた。

 会社は、代表を含む社員4人とインターンの計6人で運営。映画や自治体向けのPR動画などを制作し、ミニシアターは月に1回(不定期)開館する予定。配給会社の映画も上映する。

 今後はスタッフを増員して開館日を増やすほか、ミニシアターに併設したキッチンで映画にちなんだ料理の提供も目指す。栗原代表は「自分たちのミニシアターを目的に市を訪れる人が増え、にぎわいが生まれたらいい」と話す。

秋田市も支援

 秋田市はミニシアターを支援しようと、ふるさと納税を活用した「ガバメントクラウドファンディング」(GCF)を実施している。目標金額は140万円で、寄付金はスクリーンや音響施設代に充てられる。来年1月31日まで。連絡先は市商工貿易振興課018(888)5729。

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